選考委員長 島田 京子

選考の結果概要

 “いのち”に取り組むNPOのスタッフの育成に助成するプログラムの第1回目は、4件に対して、計700万円の助成を決定することになった。

 この助成プログラムは、人の“いのち”を大切にする社会の実現を願ってスタートしたばかりであり、公募期間約1ヶ月という期間にもかかわらず、実に多様な活動を行うNPOから応募があった。このことは、これまでのプロジェクト助成では対象となりにくかった人件費などスタッフの育成を必要としているNPOが多いこと、そして、NPOによる先駆的な課題への取り組みが着実に進んでいることの証左でもあろう。今回はパイロット事業として、東京都をはじめ首都圏に主たる事務所のある団体に限定して公募したが、助成が決定した4件とも、東京都にある団体となった。

選考の経過

 今回の公募は2005年11月から約1ヶ月間行われ、22件の応募があった。その後、専門家・NPO実務経験者などからなる選考委員5名が、選考委員会に先立ち応募書類全件を読み込み、本助成プログラムの趣旨に照らして設けた選考基準に基づくABC評価を行い、選考委員各々が、推薦4件を選出した。その結果、推薦された案件は合計10件となった。

 2月13日に行われた選考委員会では、推薦された10件について、1件ごとに推薦理由や助成にあたっての課題などを確認し合いつつ議論を重ね、助成候補を6件まで絞り込んでいった。選考の主な論点は、今回予定する人材が、単に個人的能力の育成にとどまらず、組織としての仕組みの中で育成が行なわれるように配慮されているかどうかであった。例えば、社会保険への加入などを含む雇用環境の整備についても評価の対象となった。

 このようなプロセスを経て助成候補となった案件について、選考委員会で出された疑問点や計画実現の可能性などを確認するため、上位から順に、事務局担当者が現地を訪ねてインタビューを行うこととなった。2月27日にはそのインタビュー報告を踏まえて、委員長決裁というかたちで4件の助成対象と助成額を決定した。

助成の特徴

 第1回目の公募にもかかわらず、多様な団体からの応募があったことは先にも述べたが、応募団体の傾向としては、障害者・子ども・引きこもり・不登校・ニートなどを支援対象とする活動が全体の半数程度あった。しかし、助成対象となったのは、受刑者、HIV、難民、ホームレス経験者等の人権の擁護に取り組む団体となったことを興味深く受け止めている。身近なヒューマン・セキュリティとしての人権擁護は、社会的にも重い課題であり、日本では企業等の支援を得にくいテーマであったように思う。

 育成するスタッフの特徴としては、初任者研修というよりも、むしろ団体の中核となる中堅スタッフが対象となった。また、助成によって行なわれる予定の計画は、スタッフの専門性の向上、ボランティアの育成と組織化や、財政基盤の強化などを通じた、組織基盤の強化に向けたものであった。

 なお、応募団体の所在する地域を見てみると、約7割が東京都であったことも特徴的である。他、神奈川県は5件、千葉県1件、埼玉県1件という応募結果であった。しかし、活動の範囲は全国レベルで展開しているものが多かったことも特徴的である。

来年度への期待

 今回は、これまでは対象となりにくかったNPOの通常活動における人件費などに助成する第1回目として、地域を限定するなど試行的に公募した。来年以降は対象地域を広げていく予定であり、それぞれの地域に根ざした活動が公募に応えてくれることを期待したい。


2006年選考委員

選考委員長
 島田 京子   特定非営利活動法人日本NPOセンター 副代表理事

選考委員(五十音順、敬称略)
 金田 晃一  株式会社 大和証券グループ本社 CSR室 次長
 長沢 恵美子  社団法人日本経済団体連合会 社会本部 1%クラブ
 コーディネーター
 平川 和子  東京フェミニストセラピィセンター 代表
 松原 明  シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 事務局長


 



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