選考委員長 島田 京子

選考結果の概要

 NPOのスタッフと組織の育成を目指し、特に人の“いのち”を守り力づける、「身近な人間の安全保障」分野で活躍するNPOを支援する本助成プログラムは、このたび4回目の公募と選考を行った。今回は全国より38件(新規助成35件、継続助成3件)の応募をいただき、それに対して6件に計1,054万円の助成を決定した。
 今回も“いのち”に関わる多彩な活動を行うNPOから応募があり、内容も現場を担うスタッフの育成と同時に、組織全体の今後の事業展開を視野に入れた意欲的な取り組みが見られた。特に助成対象は、これまで以上に“いのち”に非常に近い活動が多くなった。

選考の経過

 今回の公募は、2008年10月から約1ヶ月間にわたり行われた。専門家・NPO実務経験者により構成される選考委員会のメンバーが、選考委員会に先立ち全応募書類を事前に読み込み、本助成プログラムの趣旨に照らして設けた選考基準に基づくABC評価を行い、新規4件、継続2件を推薦した。
 2009年1月9日に行った選考委員会では、推薦のあった1件ごとに各委員の推薦理由や助成にあたっての課題などを確認し合いつつ議論を重ね、助成候補案件を継続2件、新規6件まで絞り込んだ。
 選考の主な論点は、組織にスタッフを育成する基盤があるか、育成対象スタッフに専門性を高める基礎力があるか、育成の目的と方法が明確か、計画は組織の育ちにもつながるか、発信力や波及性はあるかなどであった。
 このような検討を経て助成候補となった案件について、選考委員会で出された点や計画実現の可能性などを確認するため、事務局担当者が現地を訪ねてインタビューを行った。
 2月6日にはそのインタビュー報告を踏まえて、委員長決裁というかたちで、今回の助成対象となる継続助成2件と新規助成4件と助成額を決定した。

応募および助成の特徴

 新規助成の応募団体の傾向は、支援対象分野としては、引きこもり・不登校、障がい者、路上生活者・生活困窮者の支援などが多く、昨年と同様の傾向であったが、さらに引きこもり・不登校分野からの応募が増加した。その中で今回の新規助成の対象団体は、病気や障がいのある子どもやその家族を支援する分野が4件中3件となり、これまでにない特徴的な助成となった。
 次に、新規応募団体の規模では、スタッフを育成する基盤の整った団体が増えてきた。それぞれ最も多いグループは、常勤スタッフ数(有給で週3日以上活動)2〜3人の団体が37%。前年度の支出総額からみた事業規模では、1,000万円以上〜3,000万円未満が31%、活動年数6〜10年が43%であり、助成対象として適切な規模であると思うが、応募団体の所在地でみると、引き続き大都市圏に集中しており、関東地域で約半数(うち東京都34%)、他は近畿地域15%、北海道、東北がそれぞれ9%であった。したがって、助成対象も関東地域の団体が殆どを占める結果となった。
 具体的なスタッフの育成方法としては、日常業務を通じたOJTや外部講師を招いた内部研修、外部の講習会・研修会への参加、他団体への見学・研修、資格取得などが多くみられた。また組織としてのスタッフ育成フォローの方法として、研修担当者の配置、外部研修先の確保や外部専門家による研修の場の設定、内部の情報共有、定期的報告・発表の場の設定、コスト負担などが挙げられている。
 さらに雇用環境の整備面では、ボランティアやアルバイト・スタッフの正職員化、社会保険の加入などがあり、好ましい傾向である。

 今回新規助成の対象となった団体の計画は、法人化2年目の業務と組織固めのための部門リーダーの育成、新規事業の基盤確立とネットワーク組織への事業拡大のためのスーパーバイザー育成などである。具体的な内容は「計画の概要と推薦理由」を参照されたい。
 継続助成2件は、いずれも1年目の助成期間において着実で充実した取り組みが行われており、業務や研修を通じて現場における専門性を高め、組織も全面的にバックアップしている様子が伺える。また両者ともに、コーディネートの力を高めつつ他地域の組織とのネットワークもはかり、全国的な視野の中で活動を発展させている。

 本助成プログラムは、これまで対象となりにくかったスタッフと組織を育成するプログラムであり、しかも人件費を中心に助成する数少ないプログラムとして4年前にスタートした。マンパワーや資金に制約のある中でNPOは努力しているが、多忙な日常業務の中で必要性は感じても、スタッフの育成まではなかなか手が廻らないのが一般的であり、またせっかく意欲のある優秀な人材が活動に加わっても、短期間で辞めてしまうという残念な状況もある。
 このようにNPOにおける人材育成は難しいが、今回助成対象となった団体には、この1年間の機会を活かしてスタッフならびに組織全体の成長を目指し、支援を求める人々に質の高いサポートを継続的・安定的に提供されることを期待している。


2009年選考委員

選考委員長
 島田 京子 学校法人日本女子大学 事務局長

選考委員(五十音順、敬称略)
 内山 達雄 株式会社大和証券グループ本社 CSR室長
 戈木 クレイグヒル 滋子  首都大学東京 健康福祉学部 教授
 鈴木 歩 特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 コミュニケーション・ディレクター
 長沢 恵美子 社団法人日本経済団体連合会 社会第二本部
企業・社会グループ 副長


  



*Copyright (c) 2003 Civil Society Initiative Fund All rights reserved.