選考委員長 樺山 紘一

 「花王・コミュニティミュージアム・プログラム」は、今回で2回目の助成選考となりました。第1回は十分に確実な見通しをえられないままスタートしましたが、幸いにも助成を受けた諸団体が、当初の想定をこえた活動成果をあげてくださいました。私たち選考委員会は、この結果に満足するとともに、ここでえられた教訓をもとに、さらに有意義な助成を実現すべく、衆知を集めたつもりです。継続助成8件、新規助成16件、あわせて24件の団体の皆さんが、従来にもまして実りのある活動にとりくんでくださるよう、選考委員会としての希望と期待を表させていただきます。

 さて、今回の選考にあたって、印象的だった点を2つ挙げておきます。第1に、継続、新規をとわず、著名なミュージアムとならんで、ごくちいさな地方ミュージアムが、注目すべき活動を開始していることです。そこには、志のあるミュージアム学芸員が、住民コミュニティに働きかけ、そこからパワーを受けとったというケースもあるでしょう。また、停滞や難問に直面しているミュージアムに、外側から新鮮なパワーを注入して、豊かな可能性を開きつつあるというケースもあるようです。私たちは、そうした溌溂とした活動を支援することに、大きな悦びを感じさせられます。

 第2に、今回の新規助成にあって、顕著な傾向を見いだすことができます。それは、過半の活動団体が、いわゆる「地域NPO」というかたちをとっていることです。前回でもその芽はいくつもありましたが、今回の諸プロジェクトを見わたすと、地域NPOの構想力や行動力がいっせいに開花しはじめている様子が、よくうかがえます。その形態はさまざまでしょうが、いずれもNPOとしての組織経験をつみ、それを背景として、ミュージアムにたいする強力な働きかけを実施しようとします。ミュージアムには、これまでも友の会などをはじめとして、支援団体は存在してきましたが、地域NPOにはそれを凌駕する地力がそなわっているのかもしれません。私たちは、この大きなうねりに、厚い信頼を託したいと考えています。

 いずれにせよ、この花王・コミュニティミュージアム・プログラムの大きな特徴は、たんに突出した団体に助成金を提供するだけでは終わらないという点にあります。助成を受けられた諸団体が、相互に経験交流を図り、そのことをとおしてゆるやかなネットワークをも構成し、ミュージアムとコミュニティの実り豊かな連携関係を、実地においてより広く展開すること。そのような展開が実現するよう、私たち選考委員会としても、努力を傾ける所存です。関連の多くの皆さま方のご支援を切望する次第です。





   



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