[継続助成]

 
助成番号  08-2-01
プロジェクト名 トウキョウ・コミュニティミュージアム構想プロジェクト2008
団体名 特定非営利活動法人 つなぐ
代表者名 山本 育夫
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 台東区下町風俗資料館(東京)

 この団体は、ミュージアムや歴史的な建物など、まちにあるさまざまな文化的資源の楽しみ方を市民にわかりやすく伝える活動を行っている。
 助成1年目では、地元山梨で実績を積んだまちあるきツアーやガイドブックの開発・実施を、江戸東京たてもの園(東京)を拠点として、同園に移設されている建物のゆかりの地を訪ねるまち歩きツアーに取り組み、東京でも展開可能な手ごたえを得た。
 2年目の助成ではさらに都下で地域を拡大し、新たに台東区下町風俗資料館(東京)を拠点にまちあるきツアーの実施とガイドブックの作成に取り組むとともに、拠点の多様化、拠点同士の連携を進め、東京23区のまちとミュージアムを対象にした「トウキョウ・コミュニティミュージアム構想」につなげようとしている。
 本団体のまち歩きツアーとガイドブックは、良質なカルチュラル・ツーリズムとなっている。またツアーの開発の過程で、学芸員やまちの人々とコミュニケーションを重ね、ミュージアムを地域につないでいる点も評価した。さらなる展開が楽しみなプロジェクトである。
 


 
助成番号  08-2-02
プロジェクト名 ハンズマート・ミュージアム〜オリジナル品の販売などを通した魅力創出事業〜
団体名 特定非営利活動法人 アジア・フィルム・ネットワーク
代表者名 福岡 晋也
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 愛媛県美術館(愛媛)

 この団体は、愛媛県内で撮影される映画・映像作品の制作支援を行い、その取り組みの中で地域固有の資源を再発見し活用することで、まちづくりに繋げている。
助成1年目は、小学生に、愛媛県美術館を題材や舞台にした物語を映像作品の形で表現してもらい、「こども映画塾」で上映した。また大人も対象とした、美術館の魅力を探索しながらツアー形式で実感してもらう「アメージング美術館ツアー」も実施し、参加者から好評を博した。
 助成2年目では、引き続き「アメージング美術館ツアー」に取り組み、内容の向上と定着化を図る。また新たに人の集まる仕掛けづくりとして、シニア・学生・障がい者などの参加による「てづくり品」の作成と販売の場を提供することで、「いきがい・やりがい」を創出する試みも行う。
 美術館のプログラムとしてのツアーの定着と、多様な人々を美術館に呼び込み楽しませる仕掛け作りが、リピーターの創出につながることを期待している。
なお、選考委員会では、当団体の技術力が評価される「映像」をもっと生かす工夫も欲しいとの意見が出された。
 


 
助成番号  08-2-03
プロジェクト名 簡単で効果あり!ニュータウンの自然を再生する方法おしえます〜普及編〜
団体名 水辺のフィールドミュージアム研究会
代表者名 久加 朋子
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 兵庫県立人と自然の博物館(兵庫)

 この団体は、兵庫県立人と自然の博物館の連携グループで、ニュータウン内の人工的な環境であっても、簡単に自然再生できることをアピールするなど、専門知識を持つ研究者と自然再生を行う市民団体を結びつける中間組織の役割を果たそうとしている。
 助成1年目では、水の涸れない魚道やビオトープづくりのための、ソーラーパネルとポンプによる新たな仕組みを作り設置した。また都会の川でホタルを増やす活動として、「コンクリート三面張り河川でのホタルの住み場所づくり」にも取り組んだ。
 2年目は、これまでの活動を継承し、さらに改良を加える一方で、1年目の活動成果の普及を博物館と協力して行い、自然再生を行う市民団体の間に新しいネットワークを広げることを目指している。
 本団体の活動からは、専門家も参加し試行錯誤を重ねながら地道に実績を積み上げている様子が伝わってくる。2年目では普及活動にも力点を置いているが、このような分野の新しい形の中間組織として、どのような展開が可能なのか、大いに興味があり、また期待している。
 


 
助成番号  08-2-04
プロジェクト名 筑後川の未来は僕たちが創る!川を学ぶ寺子屋「ちくご川キッズ探検隊」
団体名 筑後川まるごと博物館運営委員会
代表者名 駄田井 正
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 筑後川発見館くるめウス(福岡)

 この団体は、筑後川発見館くるめウスを拠点に、筑後川流域そのものを博物館と見立て、流域の自然・文化・産業などのありのままの姿を流域の人々に紹介する活動を行っている。
 助成1年目では、初めて閉館後の夜間講座「筑後川大学」を実施し、合わせてボランティアの養成を行った。また、休日午後のイベント講座「筑後川なんでも発見団」も行い、筑後川流域の環境再生と地域活性化につなげる同団体の活動に、幅を拡げる下地を作ることができた。
 助成2年目の活動では、新たに子どもを対象に、川を学ぶ現代版寺子屋「ちくご川キッズ探検隊」と名づけた毎月の学習会を行い、知識と体験を伝えることで、地域の未来を担う人間を育てようとしている。
 このような自然を対象とした活動は、息の長い取り組みが求められる。市民の力で身近な筑後川を知り、川と地域との関わりを考え、次世代に受け継いで行こうとする取り組みは、オーソドックスではあるが大切な取り組みである。多様な地域の人々の参加により、この活動がさらに発展的に続いていくことを期待している。
 


 
助成番号  08-2-05
プロジェクト名 憩いの森作りプロジェクト2(園路をつくろう)
団体名 フレンZOO(ズー)すざか
代表者名 長谷川 潔
設立年 2005年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 須坂市動物園(長野)

 この団体は、須坂市動物園のサポーター団体で、小動物とのふれあい活動のサポートや、園内の花壇作り、動物園が主催するイベントへの協力などを行っている。
 1年目の助成では、自然学習の拠点と来園者のくつろぎの場づくりとして、「憩いの森づくり」に取り組んだ。それまで活用されていなかった薬草園に、土壌に適したアジサイを植え、縁台を設置し、石窯を作ったが、イベントでの石窯ピザの配布には、思いがけないほどの行列ができたという。またポニーの糞などから作った堆肥で、畑づくりにも取り組んだ。
 2年目では事業をさらに進め、雨や雪でぬかるみ、来園者からの要望も多かった「園路整備」に着手する。路づくりには、今回も同団体のメンバーと動物園職員が一緒に取り組み、坑木を置き、チップ化した剪定材をリサイクルとして敷き詰める。
 小規模な動物園ではあるが、「手づくり」を含めて、できるところから積極的に楽しみながら取り組む姿勢を評価するとともに、「このプロジェクトを足がかりに、市・地域住民、地元企業などと一緒になり、『私たちの動物園の発展』を進めていく第一歩にしたい」という願いに共感した。
 


 
助成番号  08-2-06
プロジェクト名 ホネホネ出前プロジェクト+ホネホネサミット2009!
団体名 なにわホネホネ団
代表者名 西澤 真樹子
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大阪市立自然史博物館(大阪)

 この団体は、大阪市立自然史博物館を拠点とするボランティア・サークルで、博物館に冷凍保存されている動物遺体から骨格標本を作製し、博物館に納めたり、科学系イベントなどへの参加を通じて普及活動を行っている。
 助成1年目は、全身骨格標本を共同作業で組み立てたり、組み立て作業のノウハウを冊子にまとめて発行した。また完成標本やパネルなどは、科学系イベントなどでも展示した。さらには動物由来感染症専門の獣医師を招いた勉強会を実施するなど、当初計画以上の取り組みもあり、大変活発な展開を見せた。
 2年目では、骨格標本の製作を続けつつ、完成した標本を「ホネホネ出前セット」としてイベントへ持ち込んだり、要請があれば小学校などでの出前展示や授業も行う。さらには、動物骨格の専門家や骨格標本作製技師を講師に招く公開シンポジウム「ホネホネサミット」(2009年夏予定)を開催し、参加者の専門性と技術を高めるとともに、各地のグループとの交流の場づくりにも取り組む。
 この団体には多様な世代のメンバーが参加しており、専門家の協力を得ながら知的好奇心を満たしつつ、いかにも楽しそうに元気に活動する様子が伝わってくる。科学系イベントや研究会などで積極的にその活動と成果を発表していく姿勢も高く評価した。2年目も楽しみである。
 


 
助成番号  08-2-07
プロジェクト名 みんなの知恵と力で甦れ! 武蔵野の雑木林再生プロジェクト
団体名 多摩六都科学館ボランティア会
代表者名 伊藤 恵一
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 多摩六都科学館(東京)

 この団体は、多摩六都科学館によって設立されたボランティア団体で、館内外でのワークショップや理科教室の企画・実施などを、会員の自主運営により行っている。
 同団体では、それまでの学習会を通じて、武蔵野の雑木林の生物多様性が失われてきていることに気づいたことから、助成1年目では、まずは身近な科学館の敷地内の雑木林を再生する取り組に着手し、木々の手入れ作業、生態系調査、内部勉強会、親子参加型教室などを行った。特にミニ・ビオトープ作りやそのイベントを通じて、会員をはじめ、これまでの協力者や武蔵野地域で雑木林の保護活動や教育を行っている団体、ジュニアボランティアなど、多様な人々を巻き込みつつ連携を深めた。
 助成2年目では、これらの活動を継続しながら、新たに間伐材の有効利用にも取り組むなど、武蔵野地域の雑木林再生のためのモデルとなるような、さらなる基盤作り目指す。
 雑木林の再生は息の長い活動になるが、本プロジェクトは問題意識が明確であり、地域に根ざし、かつ開かれた活動を目指している。また次世代の子どもの育成も視野に入れ、楽しみながら自然と触れ合い学ぶ場の工夫も見られる点を評価した。
 


 
助成番号  08-2-08
プロジェクト名 宇宙をみんなに届けよう−病院・高齢者施設などへの出前プラネタリウム
団体名 サイエンスクルー「星の語り部」
代表者名 跡部 浩一
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 山梨県立科学館(山梨)

 この団体は、山梨県立科学館を拠点として活動する市民コミュニティで、プラネタリウムというメディアを使い、宇宙や星に託して伝えたいメッセージを自主制作番組などを通して表現し、さまざまな人たちと宇宙を楽しむ活動を行っている。
 助成1年目では、視覚障がい者も楽しめるプラネタリクムを目指し、触って楽しむ惑星模型や点字星図の試作、番組の音声Podcast配信に取り組み、それらの活動は学会などでも発表するなど、着実な成果を上げるとともに活動の幅を拡げた。
 2年目はさらにバリアフリー化を試み、病院や高齢者施設など、普段は本物の夜空をなかなか見られない人たちや、科学館に来たくても来れない人にたちのところにメンバーが出向く「出前プラネタリウム」に取り組む。
 この団体の活動が高く評価されるのは、学芸員と天文の専門家が加わって専門性を担保しつつ、単なる知識の伝達ではなく、相互に交流する中から新しい気付きを楽しみ、さらに皆で一緒に宇宙を楽しもうとする姿勢である。今回の試みも大変意義深く、展開を期待したい。
 



[新規助成]

 
助成番号  08-1-01
プロジェクト名 北海道内展示の鉄道遺産車両の保守・補修
団体名 特定非営利活動法人 北海道鉄道文化保存会
代表者名 飯田 勝幸
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 小樽市総合博物館(北海道)

 この団体は、北海道各地に保存されている鉄道車両の保守・補修を行い、これらを地域の文化遺産として永く継承していくことを目的としている。
 本プロジェクトでは、道内に約200両遺されている鉄道車両について、錆落しや腐食防止のペイントを行うことで保存状況を改善するとともに、講演会やインターネットを通じて、北海道における鉄道の歴史を広報していく予定である。
 北海道の発展に鉄道の果たしてきた役割を考えると、道民の鉄道遺産に対する思いは特別のものがあると思われるが、現在その多くが無蓋施設に置かれ、車両を手入れしてきた方々の高齢化も進みつつある。今回の活動は、その意味からも多くの市民の支持を得られるであろう。小樽市総合博物館との緊密な連携のもと、世代を超えた継続的な活動となることを期待したい。
 


 
助成番号  08-1-02
プロジェクト名 お醤油屋さんの石蔵はコミュニティ☆アート☆ミュージアム
団体名 アートNPOヒミング
代表者名 高野 織衣
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 氷見市立博物館(富山)

 本プロジェクトの舞台となる氷見市は、富山県の西北、能登半島の付け根の部分に位置する人口約5万5千人の小都市である。応募団体は、地域がもつ場所の力を発見し、生活の質的向上と持続可能な地域の形成を目指すNPOで、今回の活動は、この氷見市に建つ「お醤油屋さん」の石蔵(築100年超の伝統的建築物)をリノベーションし、博物館とも連携しながら、市民活動の拠点として運営しようというものである。様々な市民が参加・協働することを通じて、氷見の地域活性化につながることが期待される。
 なお、このプロジェクトは他の4つの助成とのマッチングによって行われるが、本助成プログラムは資金的支援だけではなく、他の助成団体との交流を重視しているので、その点を踏まえて取り組んでいただければと思う。
 


 
助成番号  08-1-03
プロジェクト名 千駄木旧安田楠雄邸:蓄音機・ピアノの修理による音の世界の再現
団体名 特定非営利活動法人 文京歴史的建物の活用を考える会
代表者名 松塚 昇
設立年 1998年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 東京都指定名勝 旧安田楠雄邸庭園(東京)

 千駄木は東京都文京区にあり、大都市の中にあっても、下町情緒あふれる地域である。ここに立地する旧安田楠雄邸は、建物自体が築90年を経た歴史的建築物であるとともに、室内の調度品や生活資料等があわせて寄贈されており、建物全体として当時の暮らしの一端を学ぶことができる貴重な文化財となっている。
 応募団体は、この旧安田楠雄邸を保存活用し、地域の文化環境のコアとして活かしていくことを目的として発足したNPOで、現在も旧安田楠雄邸の修復のための募金活動や清掃活動等を行っている。
 歴史的建築物である住宅を、当時の生活空間(蓄音機、ピアノなどを含む)を再現するかたちで公開するという本プロジェクトは実に興味深く、旧安田楠雄邸の魅力向上にも大きく貢献するであろう。歴史的建造物の文化的な活用の新しいあり方が示されることを期待したい。
 


 
助成番号  08-1-04
プロジェクト名 廃止された地方の小さな昆虫館をみんなで再生させるプロジェクト〜「こんちゅうかんパスポート」の発行〜
団体名 こどもとむしの会
代表者名 内藤 親彦
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 (旧)兵庫県昆虫館(兵庫)

 財政難により廃止された小規模な県立昆虫館を、科学者や市民が中心となって再生させるというプロジェクトである。そのプロセスを通じて、地方の小規模ミュージアムが果たす役割と運営の有り方を、提案していきたいという大きな目的ももっている。
 2009年には町立となって昆虫館が再出発する見込みで、それを機に、住民の認知度を高め、利用者を増加させるために、「こんちゅうかんパスポート」を制作、町内の児童・園児に配布して、来館者の誘致を行い、普及啓発事業への参加者を倍増させるという。前館長の残した膨大な研究メモも電子化し、昆虫館周辺における昆虫類や動植物の生息調査を行なっていき、パスポートに掲載していくという。
 昆虫館の再生にあたり、様々な専門性をもった市民が立ち上がっており、その再生ドラマの行方は、多くの中小ミュージアムに勇気を与えるものとなるのではないかと思う。
 


 
助成番号  08-1-05
プロジェクト名 学び、演じ、創り、そして支える「大垣まち歌舞伎」
団体名 特定非営利活動法人 花の会
代表者名 柴田 千鶴子
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大垣市守屋多々志美術館(岐阜)

 この団体は、「おざしき文化の創造」「伝統文化のアウトリーチ」等を活動の柱とし、ユニークなアイデアで、市民と伝統文化をつなぐ役割を果たしてきた。昨年は、守屋多々志美術館において「歌舞伎を彩る」というワークショップを開催、多くの歌舞伎舞台美術を手がけた守屋画伯の業績の一端に光を当てた。
 本プロジェクトでは、引き続き同美術館と連携して行うワークショップ「大垣まち歌舞伎」の開催を通じて参加者・支援者を募集し、歌舞伎の入門講座に始まり、実際の公演制作までを市民が体験する。
 一過性のイベントに終わらず、アートマネジメント分野における人材育成につなげることを企図している点がとくに評価できる。守屋画伯に関心をもつ人が増え、美術館の発信力を高める契機にもなることを期待したい。
 


 
助成番号  08-1-06
プロジェクト名 みんなでつくる備前の歴史編纂プロジェクト 記憶の聞き取り調査のビデオ・音声のアーカイブ化とその利用
団体名 備前の記憶をつむぐ会
代表者名 清水 春一
設立年 2008年
助成額 42万円
拠点ミュージアム名 備前市歴史民俗資料館(岡山)

 この団体は、40年近い活動実績がある郷土史研究会を母体とし、地域の記憶が消え去る事に対する危機感から、その収集整理を行う事を目的に作られた会である。
 活動内容は、聞き取り調査によって地域の記憶をビデオ等で記録し、その内容を整理してデータベース化すると共に、活用しようとすることである。産業革命以前の具体的な地域のくらしや産業などについての記憶は、組織的に収集する事をしないと、残らない事は明らかで、モノ資料の収集に対して、大変に遅れている分野と言える。
 最近になって各地でその関心が高まってはいるが、この会のように、博物館を活用しながら、記録をDVDを使用してアーカイブ化し、その成果を博物館の企画展示や学校教材として活用する事までも計画に入れて、活動を進めていく会は少なく、成果が期待される。
 


 
助成番号  08-1-07
プロジェクト名 「すぎなみ昔話紙芝居でまちを元気に」プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 図書館サービスフロンティア
代表者名 鈴木 茂
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 杉並区郷土博物館分館(東京)

 本団体には「すぎなみ昔話紙芝居一座(すかい)」があり、郷土博物館を活動基地として、地域の昔話を紙芝居化して、口演を行ってきた。今回のプロジェクトでは、紙芝居の口演を各地で実施し、研修会や講座のほか、活動の成果を展示会としてまとめていこうとする。
 地域の昔話を紙芝居にして、その地域の中で口演し、地域への愛着心を高める事や、さらに昔話の掘り起こしを行うなどの活動目的は、博物館と地域社会とを結びつける上で大きな働きをすると共に、地域の価値を高めるものである。
 特にこの活動では、学校、障害者施設での口演や研修の実施、紙芝居の内容を大学の絵本サークルと共に、絵本化する企画を伴うなど、非常に幅広く行われており、昔話などの内部に向かいがちな活動を、展示会を開催することで地域全体のものにしようとする意図など、非常に積極的な活動であり、期待したい。
 


 
助成番号  08-1-08
プロジェクト名 ファンがつなごう!まちとミュージアム
団体名 プラスリラックスアートクラブ
代表者名 越野 清実
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 京都国立近代美術館(京都)

 美術鑑賞を楽しみ、その楽しみを広げていこうとするメンバーによって作られている団体で、7年の実績があり、今回は京都国立近代美術館を観賞体験の場として設定されている。活動計画は、メンバーが告知したい作品を選択し、その作品内容を広く知ってもらうために、さまざまな分野の活動を活用して幅広い告知イベントを行い、またフォローアップをインターネット等を使って行おうとするものである。
 近年になって美術館の観賞教育は一定の関心をもたれるようになっているが、多くは美術館側、あるいは内部スタッフの手によって行われている例が多く、利用者が主体的にこのような活動を行っている例は未だ多くはない。美術館が特別な鑑賞者だけではなく、多くの利用者の支持を獲得するためには、美術館を利用する市民団体の側から、美術鑑賞の楽しみ方を広める活動が発展する事が大切であり、この団体の活動は非常に貴重であると考える。
 


 
助成番号  08-1-09
プロジェクト名 「子どもたちを博物館へ」−博物館って意外と面白いね!と思わせるプロジェクト
団体名 九州国立博物館を愛する会
代表者名 前田 和美
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 九州国立博物館(福岡)

 この団体は、九州国立博物館を拠点に、より身近で親しみのある博物館の発展を願い、博物館と地域・市民との架け橋となる活動を行っている。
 今回は特に地域の子どもたちに博物館に親しんでもらおうと、近隣の小学校との協力で「絵画展」を開催し、同時に「子どもミュージアム」プログラムとして、歴史・文化を学ぶ寸劇と勉強会、博物館のバックヤード見学会などに取り組む。さらに、「第13回九博デー」(2009年3月予定)では、一般向けに「子どもと博物館」を考える講演会・パネルディスカッションも計画するなど、これまでの実績とともに意気込みが感じられる。
 敷居が高い、面白くないと言われることの多いミュージアムであるが、このように子どもの頃から楽しみ学ぶ機会があると、大人になっても足を運ぶ機会が増えるとも言われている。博物館と子どもをつなぐ取り組みとして期待している。
 


 
助成番号  08-1-10
プロジェクト名 薪バスもくちゃん復活事業
団体名 北アルプス・バイオマスを考える会
代表者名 工藤 哲秀
設立年 1995年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 財団法人大町エネルギー博物館(長野)

 この団体は、地域から生まれるバイオマスの利用を考え、持続可能な循環型社会を形成することを目的に、市民への広報・普及活動や学習会等を通じて、地元地域に最適な仕組みを探求している。
 本プロジェクトは、大町エネルギー館にある全国でも珍しい薪バスの運行を復活させようというものである。この薪バスは、まだ動くことが可能でありながら、資金難のために細々としか運転されずにいる。定期的に運行されるようになれば、地域のみならず広く人々の耳目を集めることは間違いない。
 薪バスを使った小中学生向けの学習プログラムも予定されているが、環境教育もこのような興味を惹く導入部を用意することで、効果は倍増するであろう。地域の観光資源としての活躍も期待したいところである。
 


 
助成番号  08-1-11
プロジェクト名 市民と博物館の連携によるフィールドミュージアム創造プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 千葉まちづくりサポートセンター
代表者名 福川 裕一
設立年 1999年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 千葉県立中央博物館(千葉)

 この提案団体は、市民参加のまちづくりを支援することを目的として、博物館評価尺度の試作、地域の課題をテーマにした市民共同企画展等を提案するなど、千葉県を拠点として定評ある活動を展開している中間支援NPOである。
 本プロジェクトは、千葉県内の複数の博物館が連携・協力して、県全土で地域の特色に配慮した市民参加型のフィールドミュージアムを考えていこうという壮大なチャレンジである。そのために、広く市民やNPO等が参加するキックオフ・フォーラムの開催やワークショップ型タウンミーティングの実施を計画している。
 こうした活動を通じて、フィールドミュージアムづくりのネットワークが構築され、そのモデルを市民参加型で試作・提案することが期待されるが、こうした大きなチャレンジの第一歩を、本助成プログラムとしてもぜひ一緒になって支援していきたい。
 


 
助成番号  08-1-12
プロジェクト名 ミュージアム・シアター・ワークショップ(MTW)−演劇的手法を使った博物館教育プログラムの開発
団体名 ミュージアム・シアター・ワークショップ
代表者名 嵯峨 創平
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 所沢航空発祥記念館(東京)

 この団体は、英米の博物館で始まった新しい博物館教育の形式である「ミュージアム・シアター」の、日本への導入の可能性を探ることを目的に結成された。
 本プロジェクトでは、公開研究会での検討を重ねたのち、具体的なプログラムの開発やスタッフの訓練などを経て、所沢航空発祥記念館の協力のもと、公募による参加者を対象としたプログラムの実践へと繋げていく。
 即興演劇の手法を用いたこのような教育コミュニケーションの試みは、わが国の博物館ではまだあまり例がなく、導入に当たっては参加者を巻き込んださまざまな試行錯誤が要求されると思われる。現在はまだ多くの市民の参加が期待できる段階にはないが、将来的には新しい博物館体験の方法として波及していく可能性も秘めている。設立間もない団体ながら、すでに一定の理論的蓄積を有している点も評価できる。
 


 
助成番号  08-1-13
プロジェクト名 小児科病棟はみんなのミュージアム
団体名 山梨大学付属病院小児科病棟のこどもたちに笑顔をと届ける会
代表者名 犬飼 岳史
設立年 2006年
助成額 25万円
拠点ミュージアム名 山梨県立科学館(山梨)

 この団体は、山梨大学付属病院の小児科病棟で、長期入院児童とその家族のために、潤いのある入院生活の提供を目指して、個人や団体を病棟に招く様々な企画を行なってきた。
 今回の応募は、万物の不思議をコンパクトに学習・体験できるミュージアムを、病児にも体験させたいという思いから、山梨県立科学館の協力を得て、いわば、博物館活動のアウトリーチを進めるために応募された。プラネタリウム星空体験、サイエンス・ショー科学工作など、病院では体験できないメニューを実行するという。思いがけない発想であるが、博物館のアウトリーチのひとつとして考えれば、様々な場面に応用できると思う。
 当プログラムの対象としては多少ズレているきらいはあるが、活動の社会的意義の高さから採択した。今後、多くの病院でも取組んでほしい活動である。
 


 
助成番号  08-1-14
プロジェクト名 京都・保津川の筏復活プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
代表者名 坂本 信雄
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 亀岡市文化資料館(京都)

 この団体は、もともと、保津川の河川環境の保全をめざして設立された。さらに活動の幅を広げて、亀岡市文化資料館を拠点に、筏を通じて様々な流域の文化を調査し、伝統的な技術で筏を製作し、その筏制作の記録・伝承を目指すとともに、実際に筏を川に流すというイベントを通じて川の文化の再発見をしていこうとするものである。
 応募団体のメンバーには、元筏士の方々も加わり、20代から80代までの構成で、活動を通じて世代間交流も活発に行なわれるであろう。「筏」をキイワードに地域文化を見直してゆくことから、川の環境を守る活動に繋がっていくものと思われる。
 亀岡市文化資料館をホームベースとした活動から一歩すすんだ、資料館のデータベースを活用した市民活動ともいえるのではないか。仲間うちのイベントにならないよう、地域に開かれた活動を期待する。
 


 
助成番号  08-1-15
プロジェクト名 奥谷タイムトンネル−古くて新しい島根をさがしに−
団体名 どこでもミュージアム研究所
代表者名 高嶋 敏展
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 島根大学ミュージアム(島根)

 今回の助成対象プロジェクトの中には、歴史的建造物を活用したものがいくつか見られるが、その中でも、歴史的建造物を過去と未来をつなぐ「タイムトンネル」と名付ける本プロジェクトのセンスの良さは抜群に素晴らしい。このネーミングを発案をした応募団体は、島根県内の歴史的建造物において様々なアートイベントを手がけてきたメンバーが集う任意団体である。
 本プロジェクトでは、国の登録文化財でもある、大正13年創建の「旧奥谷宿舎」という大正モダン建築を舞台として、ワークショップやシンポジウム等を含むアートイベントの開催を通じて、「旧奥谷宿舎」を地域のコミュニティ・ミュージアムとして機能させることを目的としている。
 ただし、単なるイベントの断続的な繰り返しではなく、文字通りのコミュニティ・ミュージアムに発展するよう、個別のプログラムが連関したプロジェクトとして展開されることを期待したい。
 


 
助成番号  08-1-16
プロジェクト名 市民による博物館づくりプロジェクト
団体名 だて市民学芸員の会
代表者名 伊達 君代
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 伊達市噴火湾文化研究所(北海道)

 この応募団体は、市が計画している新博物館の構想に対して、その構想当初から市民がかかわることの大切さを認識して「市民学芸員制度」をつくり、そのカリキュラムを修了したメンバーを中心に博物館計画にかかわる市民を増やし、養成していこうとする会である。
 今回のプロジュクトでは、100人規模の市民検討委員会をつくり、その学習の中から新しい博物館像に対する意見を集約し、また独自のイベントなども計画する事で、博物館つくりの運動を小中学校や一般市民の中に宣伝し、博物館建設の機運を市民の側から積み上げていこうとしている。
 新しい博物館を作る際には、市民自身がその博物館を作ることに参加し、市民の意見を取り込んだ博物館つくりになることが理想であるが、実際にはなかなかそれを実現した例が生まれていないのが現実である。そういう意味で、このプロジェクトは新しい博物館づくりの動きとして期待したい。
 



   


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