[継続3年目助成]

 
助成番号  09-3-01
プロジェクト名 みんなの知恵と力で甦れ!
武蔵野の雑木林再生プロジェクト
団体名 多摩六都科学館ボランティア会
代表者名 伊藤 恵一
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 多摩六都科学館(東京)

 この団体は、多摩六都科学館によって設立されたボランティア団体である。その活動は展示や学習などのサポートをするものであるが、2007年度から本プロジェクトをスタートさせて、これまでに計画通りの成果をあげてきた。雑木林の笹狩り、落ち葉かき、樹木の伐採などの手入れ作業、雑木林教室の開催、インターネットを活用した広報、シイタケ栽培の研修などを実施した。雑木林の再生をはかる一方で、雑木林を学習機会の場としても生かしている。
 助成3年目は、農家などの古老からの聞き取り調査や、雑木林の生態系データの蓄積などを計画する一方、博物館のホームページ上に活動報告をするなどして普及にも取り組む。こうした活動は、決して目立つものではないが、市民が科学館の雑木林を日常空間にして、その再生を目的にして自らが学び、また科学館からその活動や成果を全国に情報発信するものとして評価できる。また、その活動に参加する市民が増加しつつあることや、市民と科学館との連携も円滑であることにも好感がもてる。
 


 
助成番号  09-3-02
プロジェクト名 トウキョウ・コミュニティミュージアム・プロジェクトの「報告キット」作成と送付
団体名 特定非営利活動法人 つなぐ
代表者名 山本 育夫
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 江戸東京たてもの園、台東区下町風俗資料館、江東区深川江戸資料館(東京)

 山梨地区でフィールドミュージアムを立ち上げ成功した手法を、この2年間にわたり、東京でも実施し実績を作ったことで、東京都日の出町商工会の助成を受けて、観光振興事業にも参画できたという。
 助成3年目は活動を広く知ってもらい社会化することを目標に、2年間の実施成果をパッケージ化して「報告キット」とし、東京都下のミュージアムに配布するというプランである。十分に実績があり、手法も完成されている団体なので、さらに多くのミュージアムとタイアップして活動を広げていくことを意図したものと思う。当プログラム自体が広く知られる契機となることを期待したい。一方、フィールドミュージアムの目指すところは町歩きだけではないはずで、今後の活動の中には新しい視点を開発されることを期待したい。
 


 
助成番号  09-3-03
プロジェクト名 みんなの星空〜さわって感じる絵本と聴いて広がるラジオから
団体名 サイエンスクルー「星の語り部」
代表者名 跡部 浩一
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 山梨県立科学館(山梨)

 この団体は、科学館に拠点を置き、プラネタリウムを使いながら、多くの市民に対して、様々なメッセージを伝える活動をしている。特に近年の活動では、ハンディキャップを持った人々に対しても星空を楽しんでもらうための工夫をして実践していることは、非常に独創的であり、また特徴的であった。
 3年目の課題としては、特にそのような活動を広く広報していくことをあげているが、会では、ユニバーサルデザイン絵本とラジオ番組の制作をあげ、同時にこれまでと同様に絵本やラジオ番組と連動したプラネタリウム番組の制作を計画している。星をテーマとしたこのような活動はほとんど類例がなく、その計画も既にプランは動き始めていて、実行性が高く、その成果が広がっていく可能性も大きい。
 このような活動の広がりとともに、今後も本来の拠点であり、これまで進めてきたプラネタリウムの場での活動の発展、特に今回の絵本やラジオ番組をうまく取り込んだ新しい手法とプログラムの開発にも期待したい。
 


 
助成番号  09-3-04
プロジェクト名 全国ホネホネットワーク計画!標本製作集団ガイドブックをつくろう
団体名 なにわホネホネ団
代表者名 西澤 真樹子
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大阪市立自然史博物館(大阪)

 一度聞いたら忘れない、そして参加している人たちの楽しさが伝わってくるような、インパクトある名称であるが、その名の通り、骨格標本の製作を行っている団体である。
 骨格標本づくりは、今までは地味な裏方の作業であったのではないかと推測するが、同団体の頑張りによって、オープンで楽しげなものとなってきたように思う。また、市民がミュージアムの基本であるコレクションの充実に直接的に貢献する点は、他の団体には見られないユニークな、しかし正統的な活動であると評価できる。
 同団体の会員数は順調に増加しているようであるが、中間インタビューによると、それ故に、会の内部では会員同士の名前が覚えられないなど、“こじんまりとしたアットホーム感”が少なくなりつつあり、また、運営面では担当する博物館学芸員の負担が増しているなど、組織的な活動としては一つの発展段階的なカベに直面しつつあるようだ。今年度の助成活動を通じて、こうした点についても、団体として検討し、さらなる活動へと発展されることを期待したい。
 


 
助成番号  09-3-05
プロジェクト名 簡単で効果あり!ニュータウンの自然を再生する方法おしえます〜普及編Vol.2〜
団体名 水辺のフィールドミュージアム研究会
代表者名 久加 朋子
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 兵庫県立人と自然の博物館(兵庫)

 この団体は、兵庫県立人と自然の博物館の連携グループで、ニュータウン内の人工的な環境であっても、簡単に自然再生できることをアピールするなど、専門知識を持つ研究者と自然再生を行う市民団体を結びつける中間組織の役割を果たそうとしている。
 これまでに、ソーラーパネルを用いた水辺の自然再生や、コンクリート三面張りの河川でのホタルの棲み家作りに取り組み、いずれも着実な成果を挙げてきた。また、これらの成果を博物館やイベントで紹介するなど、積極的に活動を公表し、普及を進めている。
 助成3年目は、今までの取り組みのさらなる発展に加え、類似の自然再生に取り組む団体による「市民が行う地元の自然再生」についての合同フォーラムを開催する。団体同士が力を合わせることで、普及活動がより効果的に進むことを期待するとともに、フォーラムの成功により団体の一段の成長につながることを期待している。
 



[継続2年目助成]

 
助成番号  09-2-01
プロジェクト名 博物館の展示鉄道車輌解説等の作成
団体名 特定非営利活動法人 北海道鉄道文化保存会
代表者名 飯田 勝幸
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 小樽市総合博物館(北海道)

 この団体は、北海道各地に保存されている鉄道車両の保守・補修を行い、これらを地域の文化遺産として永く継承していくことを目的としている。
 助成1年目では、小樽市総合博物館展示車両3両の補修を行い、保存状況を改善した。また、講演会やWebを通じて、道内における鉄道文化の歴史の広報啓発活動を行ってきた。活動が地元自治体で認められ、自治体とも連携し鉄道文化財保存への動きも出来つつある。
 2年目は、さらに小樽市総合博物館内4両の保守・補修と、1年目に地元自治体と培ってきた鉄道文化財保全の動きを道内全体で加速させる動きをつくることを目指して実施したフォーラムのとりまとめを行うとともに、拠点博物館で来館者に配布する展示車両の解説書を作成する。
 道内には、鉄道車両約200両が遺されており、その保存や修復はそれぞれの地域や自治体で課題となっている。来館者に関心と理解を深めてもらい、さらに団体同士の相互交流やネットワークが構築されることでノウハウの共有ができ、課題解決に寄与することを期待したい。
 


 
助成番号  09-2-02
プロジェクト名 市民と博物館の連携によるフィールドミュージアム創造プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人
千葉まちづくりサポートセンター
代表者名 福川 裕一
設立年 1999年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 千葉県立中央博物館(千葉)

 この団体は、市民参加のまちづくりを支援する中間支援NPOであり、まちづくりの地域資源としての博物館を評価し、市民と博物館が連携したフィールドミュージアムを作ろうとしている。
 助成1年目は、具体的な活動計画の策定から着手し、キックオフフォーラムにおける関係者の意見交換を行うとともに、千葉県下5箇所でタウンミーティングを実施してきた。こうして、博物館友の会や地元の歴史・自然・文化系NPO、まちづくりNPOのメンバーにより実現可能性や課題を開かれた場で検討するなど、興味深い展開を見せた。
 2年目では、フィールドミュージアムの推進地を増やすために、さらに2箇所のタウンミーティングを実施し、加えて1年目のタウンミーティングで連携の可能性が生まれた三番瀬で、モデル事業作りを地元住民と博物館が協力して展開する計画である。
 大きな構想のチャレンジングなプロジェクトであり、広がり始めている博物館の市民参加型事業として、地元住民と博物館の連携が生み出すものに期待したい。
 


 
助成番号  09-2-03
プロジェクト名 人とまちと海をつなぐミュージアム・シアター・ワークショップ−演劇的手法を使った博物館教育プログラムの開発(2)−
団体名 ミュージアム・シアター・ワークショップ
代表者名 嵯峨 創平
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大田区立郷土博物館分館「大森海苔のふるさと館」(東京)

 この団体は、演劇の手法を用いて、博物館の情報をビジュアル化し、展示と来館者をコミュニケーションで結びつける、英米の博物館で始まった新しい博物館教育の形式「ミュージアム・シアター」の日本への導入の可能性を探ることを目的に結成された。
 1年目は、所沢航空発祥記念館を拠点に、研究会を実施し、プログラムの開発やスタッフの訓練を行い、2日間にわたる公演を開催した。開催後には評価会議を実施し、活動の振り返りを行っている。
 2年目である今回は、「大森海苔のふるさと館」を拠点とし、手法研究の進化、運営スタッフとの協働、評価データの作成、結果の公開と普及を目指している。
 即興演劇の手法を用いたこのような形式は日本ではまだあまり例がなく、パイオニア的な存在である。団体の活動の自己評価を行いながら先駆的な取組みを進め、今後の日本におけるミュージアムの体験方法の1つとして波及させようとしている点に期待したい。
 


 
助成番号  09-2-04
プロジェクト名 小児科病棟はみんなのミュージアム
団体名 山梨大学付属病院小児科病棟のこどもたちに笑顔を届ける会
代表者名 犬飼 岳史
設立年 2006年
助成額 48万円
拠点ミュージアム名 山梨県立科学館(山梨)

 この団体は、山梨大学付属病院の小児科病棟で、長期入院児童とその家族のために、潤いのある入院生活の提供を目指して、個人や団体を病棟に招く様々な企画を行ってきた。
 助成1年目は、山梨県立科学館の協力のもとに病棟内に写真パネル展示を常設化し、病棟での天体観望会やチェンバロ演奏会を実施した。
 2年目は、病棟に当プログラムで助成を受けている他の団体を招いたり、天体観望会を日常的に行える体制を整えるなど、活動を継続・発展させる。さらに、病棟をミュージアムのアウトリーチ先とする考え方を広げていくことを目的の一つとし、学会での発表や雑誌への投稿も予定している。
 当プロジェクトは、社会的に意義が高い活動であると同時に、ミュージアムの新しい可能性への試みでもある。ノウハウを蓄積し発信していくことで、全国の病院に広がっていくことを期待している。
 


 
助成番号  09-2-05
プロジェクト名 学び、演じ、創り、そして支える「大垣まち歌舞伎」
団体名 特定非営利活動法人 花の会
代表者名 柴田 千鶴子
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大垣市守屋多々志美術館(岐阜)

 この団体は、「おざしき文化の再生と継承」「伝統文化のアウトリーチ」等を活動の柱とし、市民と伝統文化をつなぐ役割を果たしてきた。
 助成1年目は、大垣市守屋多々志美術館と協働して、守屋画伯の作品や展示内容、あるいは歌舞伎に関するワークショップを行い、また、収蔵作品をモチーフにした新作浄瑠璃の公演を行った。さらに、空き店舗を活用した施設に仮想の芝居小屋を設け、実演家などの専門家に加え、市民が多数参加した「大垣まち歌舞伎」公演を実施した。
 2年目は、美術館作品の研究やワークショップの開発を継続して行うと共に、まち歌舞伎にかかわる人々のネットワーク作りと、まち歌舞伎のシステム化に取り組む。
 活動からは、美術館との連携がうまくいっている様子が伝わってくる。公演に向けた一連の活動は人材育成の側面も持っており、活動の発展によって美術館、市民、地域のネットワークがさらに広がっていくことを期待したい。
 


 
助成番号  09-2-06
プロジェクト名 京都・保津川の筏復活プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
代表者名 坂本 信雄
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 亀岡市文化資料館(京都)

 この団体は、もともと保津川の河川環境の保全を目指して設立された。当プロジェクトでは、亀岡市文化資料館を拠点に、伝統的な技法で筏を制作し保津川に流す活動を通じて、流域の文化を調査し、記録し、伝承することを目指している。
 助成1年目は、元筏士から筏流しの技術や作業工程、あるいは彼らの生活など幅広い内容の聞き取り調査を実施し、筏を再現し、筏流しを実施した。流域の植生調査や、子供向けイベントなど、筏流しから派生した取り組みも実施している。
 2年目は、聞き取り調査を継続し、より長い距離の筏流しを実施するのに加え、筏復活事業の技術的課題を話し合うシンポジウムを開催する。
 活動がメディアに取り上げられたことで、近隣地域でも川の文化の再発見と環境保全に向けた取り組みが新たに始まったという。行政や流域の団体との連携が伝わってくるが、団体の高い発信力を活かし、亀岡市文化資料館との連携も深めた活動に期待したい。
 


 
助成番号  09-2-07
プロジェクト名 廃止された地方の小さな昆虫館をみんなで再生させるプロジェクト
〜「ガチャポンカンパ」システムの構築〜
団体名 特定非営利活動法人 こどもとむしの会
代表者名 内藤 親彦
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 佐用町昆虫館(兵庫)

 拠点となる佐用町昆虫館(旧 兵庫県昆虫館)は、2008年3月に財政難により廃止されたが、科学者、学芸員、教育関係者、自然愛好家などのボランティアなどが奔走し、館の再開をめざしてきた。
 助成1年目は、館再開に向けて行政への働きかけや準備を進め、2009年4月には再開にこぎつけた。再開に向けては、地域住民への理解と周知を広めるためのツールとして、児童・園児向けの「こんちゅうかんパスポート」の作成と配布を行ったが、開館後もこのパスポートを持参するこどもが多いという。指定管理者となった同団体を中心に、現在も再生・維持する努力が続けられている。
 2年目は、リピーターを増やし、脆弱な財政基盤を改善し、再生を軌道に乗せるための新規事業の一つとして、こどもに人気のガチャポンを利用し、昆虫について学ぶことのできる缶バッジやカードを入れて販売する「ガチャポンカンパ」システムの構築に取り組む。
 これらの多様な市民が参加するプロセスを通じて地方の小規模ミュージアムが果たす役割と運営の有り方を提案していきたいという大きな目的に共感し、今後の展開を見守りたい。
 



[新規助成]

 
助成番号  09-1-01
プロジェクト名 ナキウサギの鳴く里づくりプロジェクト
団体名 ナキウサギの鳴く里づくりプロジェクト協議会
代表者名 倉橋 昭夫
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 富良野市博物館(北海道)

 この団体は、市民(市民団体)・研究者・企業・行政など、様々な主体との連携によって運営されており、また、その構成員は様々な分野の団体に所属する専門性のある人材とのことで、地域が結束して一つの課題に取り組んでいる様子がうかがえる。
 提案されたプロジェクトは、野生動物の交通事故に関する地図「ロードキルマップ」づくりと、小中学生を対象としたナキウサギの絵本作成という素敵な活動で、その内容とともに、実施計画が極めて具体的であり、助成によって一定の成果を確実に見込むことができる点も評価した。
 拠点となるミュージアムは富良野市生涯学習センター内にある。同センターが本プロジェクトにおける教育普及部分も担うことで、複合施設ならではの相乗効果も期待したい。
 


 
助成番号  09-1-02
プロジェクト名 北大キャンパスが太陽系だったら?!
−北大太陽系体験ツアー−
団体名 北海道大学総合博物館・4Dシアターボランティアグループ
代表者名 小俣 友輝
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 北海道大学総合博物館(北海道)

 北海道大学総合博物館は、大学博物館の中では市民のボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。この団体は同博物館のボランティアグループの一つで、資料整理、展示解説、リーフレット翻訳など様々な活動を行っている。
 今回のプロジェクトは、キャンパスを太陽系に見立て、「太陽」「水星」「金星」「地球」「火星」など太陽系の惑星の配置に対応した位置にある各施設に、縮尺にあわせて縮小した各惑星の模型を配置して、ツアーやスタンプラリーを行うものである。
 太陽系の大きさや距離感はスケールがあまりに大きく、この展示をとおして太陽系を「体験」してもらおうとする発想は新鮮であり、大学の構内を開放して、全体を博物館スペースに見立て、市民に公開することにも、北海道大学特有の大らかさを感じる。また、スタッフは20‐30代の大学教員、大学院生、市民からなることにも期待がもてる。
 


 
助成番号  09-1-03
プロジェクト名 つながれ「いのち」〜ミュージアムからつながる産育〜
団体名 あそびma・senka
代表者名 西里 真澄
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 岩手県立博物館(岩手)

 この団体は、助産師、保育士など子育てにかかわる仲間の、職域をこえた学びあいの場として設立された。現在は、情報提供や支援活動を通じて、岩手の子育て・子育ち環境をより豊かで楽しいものにすることを目的に活動している。
 本プロジェクトは、岩手県立博物館で開催された、地元の伝統的な婚礼、出産、育児を紹介する展覧会に端を発したもので、岩手の産育を「地域に伝わる結いのこころ」として学び、ワークショップ等を通じて今の子育て世代へ伝承していくことを目指している。
 今日、都市部に限らず、出産や育児に向き合う女性の「孤立化」が問題視されている。そのためメディア情報に過度に依存してしまう点も指摘される。そのようななか、古来の産育をもういちど見直し、人と人とのコミュニケーションを再構築していこうというアイデアが、30歳代を中心とする若い世代から提起されているのは注目に値する。良い成果を期待したい。
 


 
助成番号  09-1-04
プロジェクト名 博物館からキックオフ事業
「ワークショップ〜5人囃子と語る〜」
団体名 埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会
代表者名 宮川 進
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉)

 この団体は、埼玉県立歴史と民俗の博物館の友の会として出発し、博物館の中の活動にとどまらず、地域の産業と観光、文化の創造にリンクした活動を目指して、今回のプロジェクトを企画したという。
 「雛人形」「5人囃子」、「能楽」、「まち発見」とキイワードを設定し、博物館での「雛人形の展示」から地場産業、地域にある神社の薪能など民俗行事へと結び付けて、地域にあるくらしの視点を市民の中に醸成しようという事業提案である。
 博物館という資源と地域資源を結びつけて、より市民に身近な活動に仕立て上げていくというのは、かなりの企画力が必要であり、そのユニークな展開を見守りたい。また、博物館と友の会の役割をどのように分けて日常の活動を行なっているのか不明であるが、日常活動の成果としてのイベントであれば、多くの博物館の友の会のあり方に、示唆をあたえうるのではないかと思う。
 


 
助成番号  09-1-05
プロジェクト名 博物館を拠点とした「“醤油の町”散策ガイド」プロジェクト“ふれあいの誘い水としての出前スライドショー”
団体名 むらさきの里 野田ガイドの会
代表者名 染谷 慧
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 野田市郷土博物館(千葉)

 この団体は、博物館を拠点としながら、醤油と文化の町である野田の史跡・施設・自然などをガイドしている会であり、今回の応募では雨天や夜間でもガイドが可能なような「スライドによる町なみ散策」の作成と、個人でも街歩きができるようにガイドマップの作成とが計画されている。
 内容は比較的地味ではあるが、地域でのメンバーによる学習と、地域に観光客を呼び寄せる工夫、商店街に賑わいを取り戻そうとしている点など、博物館を拠点とした基本的な地域活動の計画が評価される。
 また同様のガイド団体が受け入れを主にしてあまり外への働き掛けをしていない例が多い中で、外向けの活動を行おうとしている点も特徴的であり、計画の途中成果を随時博物館などで展示する計画になっていることなども期待が大きい。計画にも書かれているが、ぜひ地域の若い世代を巻き込みながら、進めていってほしい。
 


 
助成番号  09-1-06
プロジェクト名 水湧く地から、歴史、自然、水、生態系、エコを始め様々な情報が湧く「水の学校」プロジェクト
団体名 東京経済大学・国分寺地域連携推進協議会 おもてなし事業実行委員会
代表者名 矢野 守
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 (仮称)国分寺市文化財保存館(東京)

 この団体は、大学と地域との連携という、期待されながらもあまり例が生まれていない組み合わせによって、地域の文化や歴史、自然、経済などを掘り起こすことを目的に活動をしている。
 当面の目的は、「(仮称)国分寺市文化財保存館」と「史跡の駅おたカフェ」の開館・運営の準備とともに、情報蓄積と人材育成を目的とした対話式の学校(講座)を行おうとするものである。
 豊富な地域資源を活用し、地域にある大学とともに地域組織が博物館施設の運営にもかかわりながら、地域のコミュニティの形成と街おこしとを同時に行おうとする計画は評価できる。関連した大学の教員だけではなく、多くの専門家を巻き込んでの活動は、講座の講師としてだけではなく、施設の運営や地域資源の発掘にもかかわって進めていくことを期待したい。またHPでの公開も計画されているが、講座の内容だけではなく、地域の魅力である地域資源の内容を含めて広く公開してほしいと思う。
 


 
助成番号  09-1-07
プロジェクト名 みんなの美術館プロジェクト
団体名 エイブル・アート・ジャパン
代表者名 嶋本 昭三
設立年 1994年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川)

 応募団体の「エイブル・アート・ジャパン」は、前身の団体設立から既に15年以上にもわたって障がいのある人たちの表現活動の紹介・支援に取り組んでおり、その実績から高い評価を受けている。
 今回提案された「みんなの美術館プロジェクト」は、ユーザーとしての障がい者に着目して、ユーザー参加型で美術館の課題を洗い出していこうという独自の活動であり、ぜひ支援したいと思わせる内容となっている。
 ただし、提携するミュージアムに関しては、提案されたようなギャラリーよりも、より大きな美術館を対象とすれば、社会性や普及のインパクト等の点からより良い活動となったようにも思われる。こうしたことを踏まえ、次年度以降においてさらなる展開を行うことをあらかじめ念頭に置いた取り組みを、今年度の活動の中にも期待したい。
 


 
助成番号  09-1-08
プロジェクト名 新しい郷土をカルタで知ろう!プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 茅ヶ岳歴史文化研究所
代表者名 新藤 武義
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 明野歴史民俗資料館(山梨)

 本プロジェクトは、博物館の指定管理者が、市民に地域文化への理解をより深めてほしいという思いから行なうもので、博物館を通じて市民自らが活動することを応援するこのプログラムの本来の主旨からは、少し異なっている。
 多くの市町村が合併を行なうことによって、その地域ならではの文化の継承に悩む中、このプロジェクトのように、旧8町村の「伝統行事・民俗芸能」をテーマとしたカルタを制作し、カルタで遊びながら自分達の住む地域全体の理解を深め、魅力を発見していこうという試みは、市民にとっても身近で、たのしい教材になるものと思われる。
 単なるカルタ大会に終わらせることなく、資料館におけるこうした活動を通じて、地域文化をもっと学ぼうという市民活動の育成につながることを望みたい。
 


 
助成番号  09-1-09
プロジェクト名 温故知新−登呂遺跡で、想い、めぐらし、暮らしをたどる。体験して演劇で表現する登呂再見プログラムの試作
団体名 登呂遺跡から昔の暮らしを想像し演劇を試作する会
代表者名 高岡 基
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 静岡市立登呂博物館(静岡)

 この団体は、登呂博物館を拠点としながら、博物館利用者に対して弥生時代の暮らしへの理解を進めるための体験学習などを行っている。
 今回の応募では、新しい体験プログラムの開発とともに、その参加者の反応などを見ながら、より理解を深めるための弥生時代の暮らしをモチーフとした演劇を試作して、観客参加型フォーラムとして発表する。博物館をより市民に開かれた、親しみのある場所とすることを明確な目的としているという点はこの助成の趣旨にふさわしい。
 すでに演劇の試行と参加者からのヒアリング調査も行っており、演劇という手段を使いながら、博物館のメッセージを伝え、さらにその成果・評価から新しい体験プログラムの開発や参加型フォーラムとして進めることを計画している点は評価される。単に博物館の場を使った演劇ではなく、博物館との連携作業も感じられ、考古学系の博物館で従来から行われているいくつかの体験学習の枠を破るものを制作してもらいたい。
 


 
助成番号  09-1-10
プロジェクト名 大中遺跡を体験しよう!
(弥生の村ってどんな村??)
団体名 考古楽倶楽部(遺跡案内チーム)
代表者名 濱田 武司
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 兵庫県立考古博物館(兵庫)

 この団体は、兵庫県立考古博物館(2007年開館)の開館準備段階から発足したボランティアグループである。設置者は当初から、博物館と市民との連携を意図しており、そのためにメンバーは、考古楽者養成セミナーでの講義や実習などを通して、考古学についての知識や技能を習得してきている。
 本プロジェクトは、この団体の中で新たに発足させた「遺跡案内チーム」によるガイド活動である。同博物館は史跡「大中遺跡」に隣接しており、遺跡でガイド活動を実施しているが、今回は遺跡案内パンフレットを制作して、活動の充実化を図ろうとする。
 これまでにも展示説明、体験学習や学校教育のサポート、竪穴住居の復元などを手がけており、その活動は、博物館の下請け的なものではなく、自らが事業計画をするなど主体的に取り組むものになっている点が評価できる。パンフレットの制作に際しても、ぜひ会員同士の創意工夫を活かして取り組んでいただきたい。
 


 
助成番号  09-1-11
プロジェクト名 ささやまの「ほんものアーティスト」とあそぼう!
団体名 篠山チルドレンズミュージアム ミュージアムクラブ
代表者名 垣内 敬造
設立年 2000年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 篠山チルドレンズミュージアム(兵庫)

 篠山チルドレンズミュージアムは、廃校となった中学校の校舎を活用して、7年前に開館した。以来これまで、子どもの創造性を高める意欲的なプログラムで注目を集めてきたが、現在は篠山市の財政難により、苦しい運営を強いられている。
 本プロジェクトは、このミュージアムを支援する地元市民団体による、子どもを対象としたワークショップのシリーズ企画である。篠山には、自然や歴史遺産を含む豊かな文化的資源があり、そのため篠山に在住し、またここを制作拠点に定めるアーティストも少なくないという。本プロジェクトのユニークな点は、そういったアーティストたちとのネットワークを構築し、彼らと協力しつつプロジェクトを推進しようとしている点にある。
 本団体にはすでに、同ミュージアムにおいて、演劇、芸能、工芸などさまざまな分野のワークショップを催行してきた実績があり、スムーズな協力体制が築けるものと思われる。財政難のミュージアムに元気を与える良い事例にしてもらいたい。
 


 
助成番号  09-1-12
プロジェクト名 「もっと、光を」 ドキドキ少年撮影隊 ミュージアム編
団体名 特定非営利活動法人
和歌山芸術文化支援協会
代表者名 井上 節子
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 和歌山県立近代美術館(和歌山)

 和歌山地区在住の様々な芸術分野の専門家が公立美術館と協働し、こども達のための美術を体験できるワークショップを企画、実施するという活動である。
 美術館における活動というと、通常は、美術館の学芸員が企画を作り、地域のこども達のために実施するケースが多い。外部のアーティスト集団にこのような企画を任せ、美術館そのものをアーティストの目で料理し、こども達にその魅力を知る機会を提供するということは、新しい試みである。さらに、公立美術館はどちらかというと閉じられた空間というイメージが強いが、この試みは、地域のアーティストに企画を開放するという意味でも、たいへん新しい。
 また、今回はこどものための企画を行なうことで、より多くの市民に美術館の魅力を再発見してもらおうという意図もある。写真という比較的取組みやすいツールは、企画を成功に導く可能性が高いのではないか。美術館と、地元アーティストのコラボレーションが新たな美術館の魅力に繋がっていくこととなったら、たいへん意義深いことである。
 


 
助成番号  09-1-13
プロジェクト名 伝統芸能で親子三代が楽しめる「こども文化科学館」〜21世紀への継承〜
団体名 たつじんくらぶ
代表者名 吉原 通庸
設立年 1994年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 広島市こども文化科学館(広島)

 広島市に拠点をもつこの団体は、大人から子どもまでを対象に、幅広く伝統文化の継承活動に取り組んできた。
 本プロジェクトは、そのような経験と実績を踏まえ、剣玉、講談、和楽器、落語、紙芝居、ちんどんなどのワークショップを、シリーズで開催していくものである。連携先の広島市こども文化科学館には、かねてより和文化に関連したプログラムの充実を図りたいとの意向があったため、今回同館のホールを活用しての開催となった。
 かつて地域社会が健全に機能していたころならば、これらの文化の多くは、自然に親世代から子世代に受け継がれていったはずのものである。しかしそれが期待しづらい今日では、意図的に継承の機会を作っていくことも必要だといえる。その際、問題意識をもった市民団体と公的な文化機関とのパートナーシップによるこのような取組みは、ひとつのモデルとなろう。継続的な活動を期待したい。
 


 
助成番号  09-1-14
プロジェクト名 みんなで学ぼう幕末長州藩の大砲づくり
団体名 幕末長州科学技術史研究会
代表者名 樹下 明紀
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 萩博物館(山口)

 この団体は、長州の維新史を科学・産業の視点から再評価することを目的にした市民研究会である。2001年に発足してから研究会、シンポジウム、講演会を開催する一方、県外の団体との情報交換などにより、その成果を研究報告書として刊行してきた。
 本プロジェクトは、1864年の下関戦争(対英国)で接収された長州砲が、2008年に英国から里帰りして話題になったことを契機にして、博物館や鋳造技術者などとの連携をはかり、実際の鋳造によるレプリカの長州砲(縮尺)を製作することを目的にする。
 本研究会はこれまで萩博物館で開催する展覧会においても、その研究成果が公開されるなど、博物館と良好な連携関係をもっている。失われた文化遺産を市民と博物館が協働して再現することにより、市民のアイデンティティ形成や地域の活性化にもつながるものとして評価することができる。
 


 
助成番号  09-1-15
プロジェクト名 150年前の有田皿山ば 歩こう隊
団体名 特定非営利活動法人アリタ・ガイド・クラブ
代表者名 大橋 康二
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 有田町歴史民俗資料館(佐賀)

 有田焼は、2016年には創業400年を迎えるとのことであるが、現在の焼物業界は長引く不況にあえいでいるのが実態のようである。プロジェクト名にある“皿山”とは、もともとは登り窯のある陶業地のことを指していたようであり、現在は焼物のまち・有田の総称として用いられている。こうした有田皿山を舞台として、本「アリタ・ガイド・クラブ」は、有田の歴史と文化を伝えていくことにより、有田のまちの活性化を目指そうと、新たにNPO法人格を取得した。
 本プロジェクトでは、今からちょうど150年前に描かれた古地図(1859年、安政6年)をもとにして、現代のまち歩き地図を作成しようという。
 とても魅力的な企画で、150年目という節目の年に相応しい活動であると評価できる。このような活動が起爆剤となって、元気を取り戻した有田皿山が、来る有田焼創業400年を迎えることを期待したい。
 


 
助成番号  09-1-16
プロジェクト名 みんなで描く「かぶとがにっき in 海きらら」
団体名 九十九島ランブラーズクラブ
代表者名 太田 友美
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 九十九島水族館 海きらら(長崎)

 長崎県立大学の学生と卒業生により設立されたこの団体は、佐世保市九十九島周辺で、さまざまな体験活動や調査活動を展開中である。小学校と連携した教育プログラム等のこれまでの活動が認められ、拠点となる九十九島水族館の今年のリニューアルに際しては、設計段階から企画に参加する機会を得ている。
 本プロジェクトでは、同地に生息する絶滅危惧種のカブトガニに焦点を当て、その幼生調査、および水族館のカブトガニコーナーにおける成果報告を行う。同時にそこで、子ども向けの幅広い体験プログラムを実施する。これらは少なくとも月1回のペースで継続的に行い、成果の検証も行っていく予定である。
 太古のロマンをかきたてるカブトガニの姿は、子どもたちはもちろん、大人たちの心も捉えるに違いない。こういった関心を起点にして地域への愛情につなげていこうとする姿勢には、大いに共感させられる。若いメンバーの力に期待したい。
 



   


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