選考委員長 樺山 紘一

 花王・コミュニティミュージアム・プログラムは、今回で第4回をむかえ、多数の応募がありました。選考にあたっては、前3回の助成の経験を検証しながら、慎重に検討をくわえました。助成対象としたのは、全28件ですが、このほかにも、対象外とするのが惜しい件もすくなくなかったことを、まず報告しておきます。
 ともあれ、例年どおり、コミュニティミュージアムの趣旨に沿ったプロジェクトを採択できたことに、選考委員会としては、じゅうぶんに満足しています。このプログラムの定着ぶりを、立証しているでしょう。そのうえで、今回の選考過程であきらかになった点について、いくつか指摘しておきましょう。
 第1には、このプログラムの方向として、できるだけ息のながいプロジェクトに支援したいと考えました。むろん、一回的なイベントにも、強烈なインパクトをもたらす場合がありますが、基本としては、十分の体制整備を前提として、将来をみすえたプロジェクトが望ましいと考えて、採択しました。ただし、その成長を楽しみに見守るにしても、一定の期間のうちに成果を明らかにしていただきたいこともあり、一応は3年間を上限としています。この種の助成制度にとって、必要な条件であると考えるからです。今回の選考にあっても、このことを前提にしています。
 第2には、助成をうける団体のありかたについてです。前回にあっても顕著になっていましたが、広義の地域NPO団体がかなりの比率に達しています。このことは、NPO制度の定着として評価できるものです。団体としての活動の継続性にじゅうぶんの信頼をおくことができ、望ましいことです。ただし、近年の事象として、そのNPO団体がミュ−ジアムにたいする指定管理団体の選定をうけ、ミュージアムの実質的な運営主体となったとき、このプログラムの本来の趣旨と齟齬をきたすのではないかとの危惧も生じてきます。このプログラムは、ミュージアムと外部団体との連携を支援するものだからです。この問題は、わたしたちを悩ませていますが、当面はあまり厳密で狭量な制限をもうけることなく、実勢に配慮しつつ、適切な道をさぐりもとめることにしたいと考えています。
 また、今回の助成対象のうちに、高校生や大学生を活動の主体として、その組織化を模索するものがいくつかあります。これまで、ややもすれば視野の外におかれてきた青少年を、ミュージアム活動に包括するのは、重要な提案であるといえるでしょう。その成果に期待するところ、大きなものがあります。
 第3には、団体活動の連携相手としてのミュージアムなどの事情について、触れておきましょう。周知のとおり、昨今の財政事情からみて、市区町村のミュージアムにとって困難な時代となっています。このなかで、コミュニティ団体との連携が、ミュージアムの存在意義の検証にとってとくに重要となっています。この状況をよく認識したうえで、連携関係の構築にむけて、積極的なスタンスを要請したいと思います。採択されたものの多くは、このことに対応しています。ただし、地方自治体にとって不可避の問題が、ここに介在しています。担当者の人事異動によって、あるいは予算制度の制約によって、連携活動の継続に不安がおこることもあります。ここで採択された案件についても、その不安を解消できるよう、いっそうの努力を求めたいと思います。
 以上、プログラムの過去と現在をみとおしながら、今回の選考過程について報告いたしました。問題点はむろんいくつもありますが、確実に成果をあげつつあるものと認識しています。関係するみなさんの、いっそうの奮闘をせつにお願いするものです。



   



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