[継続3年目助成]

 
助成番号  10-3-01
プロジェクト名 北海道内展示の鉄道遺産車輌の保守・補修及び鉄道遺産を活用した地域の活性化
団体名 特定非営利活動法人 北海道鉄道文化保存会
代表者名 飯田 勝幸
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 小樽市総合博物館(北海道)

 この団体は、北海道各地に保存されている鉄道車両の保守・補修を行い、これらを地域の文化遺産として永く継承していくことを目的としている。道内には、鉄道車両約200両が遺されており、その保存や修復はそれぞれの地域や自治体で課題となっている。
 これまでの2年間、小樽市総合博物館内の展示車両の補修を行うとともに、道内の鉄道車両の調査や講演会を行い、道内にある鉄道保存団体同士の相互交流やネットワークを築き、情報やノウハウを共有し、課題解決への取り組みを行ってきた。
 助成3年目は、さらに道内の団体との連携を図ることを目的にフォーラムを開催、北海道内の大学の鉄道研究会との交流の促進、北海道鉄道発祥の地手宮地区住民との「連続トーク」を行う。鉄道遺産の文化価値に関し、次世代に引継ぎ、地域住民の再認識を促し、地域の再生と活性化へのきっかけをつくることを期待したい。
 


 
助成番号  10-3-02
プロジェクト名 小児科病棟はみんなのミュージアム
団体名 山梨大学付属病院小児科病棟のこどもたちに笑顔を届ける会
代表者名 犬飼 岳史
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 山梨県立科学館(山梨)

 この団体は、山梨大学付属病院の小児科病棟に長期入院する子どもと家族のために、潤いのある入院生活の提供を目指して活動を行っている。また将来の医師・看護師を目指す学生ボランティア・サークルも活動に協力している。
 小児科病棟をみんなのミュージアムにしようという2年間の活動では、山梨県立科学館と同館を拠点に活動する「サイエンスクルー 星の語り部」(本助成対象団体)等と協力し、小児病棟の子どもたちに出張プラネタリウムを届けることで、訪れることの難しいミュージアムでの学びを提供し、知的好奇心に応えた。また病棟の廊下に写真パネルの常設化を行い、アート・カードなどの展示を進めたことは、療養中の子どもだけでなく、付き添う親や医療スタッフの癒しとリフレッシュにもつながったという。さらに学会を含む積極的な情報発信により、新たな協力者も増えるなど活動の輪も広がった。また、花王・コミュニティミュージアム・プログラムの助成対象団体の中で、小児科病棟でも活動を行いたいという団体に対して活動実践の場を提供し、今後のミュージアムの病院へのアウトリーチ活動の展開の可能性を拡げるなど、様々な点で評価された。 
 助成3年目では、病院ボランティア活動で先進的な他団体(京都大学病院小児科病棟ボランティア「にこにこトマト」と大阪市立大学医学部附属病院良質医療委員会ボランティア活動作業部会)や本プログラムの助成対象団体でもある「なにわホネホネ団」と連携し、ミュージアムと連携した活動の経験と課題を共有し、その結果を広く発信していくことで、この分野の活動の継続と発展を目指す。
 今後多くの病院・小児科病棟がミュージアムと連携した活動に取り組むきっかけとなり、この分野の活動が広がっていくことを期待している。
 


 
助成番号  10-3-03
プロジェクト名 京都・保津川の筏復活プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
代表者名 坂本 信雄
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 亀岡市文化資料館(京都)

 この団体は、これまでの2年間に、伝統的な技法で筏を制作し、保津川に流す活動を通じて、失われつつある地域の習俗を伝承しようとする活動を実践してきた。地道な調査を積み上げ、筏流しを実施し、すでに成果報告書も発行している。また、助成2年目にはシンポジウムも実施し、「産業」「観光」「環境」「文化」という視点で、地域への貢献を目指すことを確認したという。
 2011年には京都で国民文化祭が開催されることから、3年目の活動では、プロジェクトの成果を社会に発信する場として国民文化祭を位置づけ、筏流し実現に向けて準備を進める。また、環境イベントへの参加、これまでの取り組みの公開のためのウェブサイトの立ち上げも行う。
 筏というシンボルが人々を活動に引きつける求心力となり、亀岡市文化資料館とともに、行政、市民団体、大学など、多くの組織を巻き込んだ活動となっている。本団体によるさらなる活動の発展に期待したい。




[継続2年目助成]

 
助成番号  10-2-01
プロジェクト名 つながれ「いのち」〜ミュージアムからつながる産育〜
団体名 あそびma・senka
代表者名 西里 真澄
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 岩手県立博物館(岩手)

 この団体は、助産師や保育士など子育てに関わる仲間が、職域を越えて相互に学びあい、親子のコミュニケーションの支援や「いのち」を守り育む活動を行い、岩手の子育て・子育ち環境が「もっと豊かに」「もっと楽しく」なることを目的にしている。
 1年目は、母子保健に関わる支援者が、岩手の女性史や産育史を、継承者として、伝承項目の整理と情報収集を行い、インタビューシートを用いて聞き取り調査を実施。
 2年目は、1年目に行った情報収集をもとに、「伝わるための資料」と「伝える方法」を確立させ、古来から語り継がれてきた岩手の産育を、学習会やワークショップを通して、地域や世代を越えて、伝承活動を展開する。
 妊娠・出産や子育てにおいても、デジタル情報に依存しがちな昨今、30〜40代の比較的若い世代が中心となり、「古いもの」としてではなく「地域に伝わる結いのこころ」として、伝承活動を行っていこうという姿勢に期待したい。
 


 
助成番号  10-2-02
プロジェクト名 博物館からキックオフ事業
「ひなの城下町いわつき・育て!時の旅人」
団体名 埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会
代表者名 宮川 進
設立年 2006年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉)

 この団体は、4年前にミュージアムの再編統合(埼玉県立博物館と埼玉県立民俗文化センター)を機に利用者が自発的に設立し、講演会・見学会を中心に活動を行っている。会員数は現在400人を超える。
 友の会が博物館の内なる活動に留まらず、様々な団体と協働しながら地域社会に貢献する組織を目指した「博物館からキックオフ事業」の一環として、助成1年目では、地域の伝統産業と観光、文化から「まち再発見」の提案につなげたいと、地元の伝統産業である「雛人形」の「5人囃子」にスポットを当てたワークショップや「能楽入門講座」などを実施し、好評を得たという。助成2年目では、さらに「雛人形」の生産地である岩槻地域を対象に、「まち調べワークショップ」を行い、その結果をもとに「城下町&街道散歩」ツアーなどにチャレンジする。
 今回の活動を通じて、自主的・積極的に友の会活動に参加・参画する会員が増え、達成感や連帯感も芽生えてきたことは変化であり喜ばしい。他の友の会の今後の展開のモデルに育つことを期待したい。
 


 
助成番号  10-2-03
プロジェクト名 水湧く地から、歴史、自然、水、生態系、エコを始め様々な情報が湧く「水の学校」プロジェクト
団体名 東京経済大学・国分寺地域連携推進協議会 おもてなし事業実行委員会
代表者名 小林 一伸
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 武蔵国分寺跡資料館(東京)

 この団体は、大学と地域が協働で国分寺の経済・産業・文化の活性化を図るために、「お鷹の道」の「史跡の駅おたカフェ」で周辺案内やイベントを行っている。特にこの地域が名水100選にも選ばれる自然資源と国分寺の史跡発掘・調査が進む地であることもあり、地域のアーバンデザインセンターとして市民活動の拠点化を目指している。
 助成1年目は、「水の学校」として毎月1回専門家を招いた講演会を行い、ネットワーキングと情報発信に取り組んだ。助成2年目も引き続き同様の活動を行いながら、参加者同士のコミュニティ形成を進める。
 この活動の定着には時間がかかることが予想されるが、今後さらに武蔵国分寺跡資料館との協力を進め、また大学のユニークな地域貢献の姿が見えてくることを楽しみにしている。
 


 
助成番号  10-2-04
プロジェクト名 みんなの美術館プロジェクト
団体名 エイブル・アート・ジャパン
代表者名 嶋本 昭三
設立年 1994年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川)

 この団体は、障害のある人達の表現活動の紹介や支援に取り組んでおり、社会に多様な価値観を創ることを目的に活動している。
 プロジェクトでは、美術館を誰にとっても利用しやすい、より身近な存在しようと、ユーザー側から見た美術館利用に関する課題を洗い出す活動を実施している。助成1年目は、視覚障害者、聴覚障害者、車椅子利用者、日本語以外を母語とする人を対象に、ユーザー参加型のワークショップを実施した。
 2年目は、異なる属性のユーザーによるワークショップを継続実施し、各ワークショップであげられた課題を整理して社会全体で共有できるよう公開していくと同時に、課題解決型ワークショップを実施し、具体的な課題解決への道筋を描こうとしている。
 この活動は、本プログラムの主旨からはやや外れているが、その社会的意義は高く、拠点ミュージアム以外への水平展開や、将来は社会への提言をも期待したい。
 


 
助成番号  10-2-05
プロジェクト名 大中遺跡を体験しよう!
〜弥生時代を食べつくせ!〜
団体名 考古楽倶楽部
代表者名 濱田 武司
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 兵庫県立考古博物館(兵庫)

 この団体は、兵庫県立考古博物館のボランティアグループの一つであり、メンバーは、博物館の設置者が実施するセミナー講義、実習などを通して考古学的知識や技能を修得した上で、遺跡・展示解説、古代体験学習の支援などを実施している。
 助成1年目は、博物館に隣接する大中遺跡をガイドするためのパンフレットを作成した。パンフレットは、特に学校からの団体来館者に好評を得ているという。ガイド中にたびたび質問されたのが「古代の食」に関してであったことから、2年目は、実際に遺跡に隣接する水田で古代米を栽培し、収穫した米を試食して古代の食生活に思いをはせる活動を実施する。一つステップアップした活動といえよう。
 拠点ミュージアムは開館当初から市民との連携を意識しており、本団体との間にも深い連携を保っている。本団体には、より主体的な活動として本プロジェクトに取り組むことを期待している。
 


 
助成番号  10-2-06
プロジェクト名 ささやまの「ほんものアーティスト」とあそぼう!
団体名 篠山チルドレンズミュージアム ミュージアムクラブ
代表者名 垣内 敬造
設立年 2000年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 篠山チルドレンズミュージアム(兵庫)

 この団体は、篠山チルドレンズミュージアムの地域住民による支援団体であり、開館以来9年間運営を支援している。
 他の自治体の例に漏れず、同ミュージアムも市の財政難により存続の危機にある。このようなミュージアムを支えようと、特に入館者の少ない冬期の力になり、豊かな自然や文化的資源がある「本物の篠山」の素晴らしさに気づいてもらいたいと、助成1年目では篠山で活動するアーティスト(狂言、尺八、陶芸など)とネットワークを築きながらワークショップを行い、好評を得たという。
 途中経費削減のため指定管理者が交代になるという事態に、「当ミュージアムは市民にとってなくてはならない文化・教育拠点として守るべきである」として団体の存続を決め、新指定管理者のもとでミュージアムが本来のコンセプトに沿って運営されることを支援するために、引き続き2年目のプロジェクトに取り組み、住民参加型コラボレーション事業として基礎を固め、今後の継続的な実施を目指す。同団体の奮闘にエールを送り、地域の元気再生の拠点作りを目指す活動を引き続き見守りたい。
 


 
助成番号  10-2-07
プロジェクト名 「もっと、光を」 ドキドキ少年撮影隊 ミュージアム編 Part2/かぶるカメラ
団体名 特定非営利活動法人
和歌山芸術文化支援協会
代表者名 井上 節子
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 和歌山県立近代美術館(和歌山)

 この団体は、市民の立場から芸術と文化の発展に寄与する活動を進めている。
 助成1年目ではこれまで行っていた「『もっと、光を』ドキドキ少年撮影隊」の舞台を和歌山県立近代美術館とし、カメラを通じて美術館の魅力を感じ表現してもらおうと、アーティストのナビゲートにより一緒に美術館内外を撮影し、楽しみながら美術館の内外や人々を見つめ、伝えたい気持ちを表現するワークショップを行った。また子どもたちは、学芸員の協力を得て、撮影した写真を美術館の一角に展示することで、「つくる」ことから「みせる」ところまでを通して体験することができた。
 助成2年目では、引き続き同様のワークショップを行うが、今回はカメラの原点を体験するワークショップとして、「かぶるカメラ(アナログピンホールカメラ)」を一緒に製作し、美術館内を探索して撮影し展示する。
 美術館と地元NPOが協力することで、地域のこどもたちを豊かに育てるこの取り組みの展開を見守りたい。
 


 
助成番号  10-2-08
プロジェクト名 みんなで学ぼう幕末長州藩の大砲づくり
団体名 幕末長州科学技術史研究会
代表者名 樹下 明紀
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 萩博物館(山口)

 この団体は、幕末長州の科学技術史を掘り起こし、維新史を科学・産業技術の視点で見直し、明治以降の日本の近代化の原点を明らかにする活動に取り組んでいる。
 幕末長州の大砲の再現をめざし、萩博物館との共同研究に取り組んでいるが、助成1年目は歴史的・技術的な基礎学習を進めるとともに、実際に1/6サイズのミニチュア版の大砲の製作・実験にも取り組んだ。完璧な結果を得ることができなかったものの、机上ではわからなかった多くの情報を得ることができ、次回の鋳造実験への自信につながったという。最終目的は実寸大のレプリカ作成であるが、2年目はさらに基礎学習を重ね、1/3〜1/4へサイズをスケールアップした鋳造実験に取り組み、成果を機関紙で公表する。
 この団体からは、大人が仲間とともに真剣に遊びに取り組む面白さ・楽しさが伝わってくる。大英博物館に働きかけ展示品の大砲の一時帰国を果たすなど行動力もある。かなり専門的な活動ではあるが、地域のこどもたちや市民の地域文化の再発見にもつながることを期待している。
 


 
助成番号  10-2-09
プロジェクト名 「150年前の有田皿山ば歩こう隊」 PART2(外山編)
団体名 特定非営利活動法人アリタ・ガイド・クラブ
代表者名 大橋 康二
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 有田町歴史民俗資料館(佐賀)

 この団体は、焼き物のまち・有田をガイドすることで、地域の活性化、観光まちづくりなどを推進することを目的に設立された。プロジェクト名にある「皿山」とは、もともとは登り窯のある陶業地といった意味合いであったが、現在では有田の総称として用いられている言葉である。
 本プロジェクトは、150年前に描かれた古地図をもとに、現代のまち歩き地図を作成することで、ふるさとを見直し、新たな魅力を発見しようとする活動である。助成1年目には、有田皿山の内山と呼ばれる地区の地図を完成させた。2年目は引き続き外山地区の地図を作成する。
 1年目の活動からの一段の深化として、地図を利用した活動展開などを望みたいが、広い年齢層の参加者を得るなど、多くの人を巻き込んだ活動になっている点を評価した。今後は、まち歩きを通じた、より社会性のある活動への展開を期待したい。
 



[新規助成]

 
助成番号  10-1-01
プロジェクト名 杉並のライフヒストリー(生活史)の収集で時代の証言を!
団体名 特定非営利活動法人 すぎなみムーサ
代表者名 石田 金次郎
設立年 2010年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 杉並区立郷土博物館(東京)

 この団体は、市民による市民のための博物館を運営する能力を持ち、市民の目線で市民に親しまれる博物館を実現することをめざしている。そのために杉並区立郷土博物館を拠点ミュージアムとして、館長や学芸員から支援を受けて活動している。
 本プロジェクトは、市民のライフヒストリーの聞き取り調査(オーラルヒストリー)によって職業体験や地域防災史など、市民生活の変遷や多様性を集成して、博物館分館で展示公開する。杉並の地元を学習することも前提となっている。
 活動は未知数の部分もあるが、市民主体の博物館運営をめざす方向性は否定されるものではない。財政危機のもと、行政が文化教育施設の関係予算を減額する中で、現場サイドでの見直しはほとんど進んでいない。杉並区の事例は、その見直しに市民が主体的に役割を果たすことに挑戦する事例として注目したい。
 


 
助成番号  10-1-02
プロジェクト名 口述記録から映画をつくる「美術館のある暮らしを考える」鎌倉市民創造プロジェクト
団体名 「美術館のある暮らしを考える」鎌倉市民創造プロジェクト
代表者名 小坂 純
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 神奈川県立近代美術館(神奈川)

 本プロジェクトの題材となる「神奈川県立近代美術館」は、日本で最初の公立近代美術館として1951年に開館しており、来年で“還暦”を迎えることになる。建物は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエの愛弟子である坂倉準三設計によるもので、日本の近現代建築の代表として国際的にも高い評価を得ている。
 今回の提案は、この「神奈川県立近代美術館」を題材に、市民や関係者へのヒアリングを通じて、オーラル・ヒストリーの映像を制作しようという、たいへん意義深いプロジェクトであり、こうした市民参加のプロセスそのものが、新しい“アート”のあり方を提示していくような気もする。
 さらに、「わたしたちにとって(公立)美術館とはどのような意味があるのか?」という大きな質問に関して、近い将来に完成するであろう映像の中にその回答を見出せるのではないだろうか。本プロジェクトに対してはそのような大きな成果も期待したい。
 


 
助成番号  10-1-03
プロジェクト名 横須賀市追浜地区―市民による戦跡と産業と杏の里フィールドミュージアムづくり
団体名 特定非営利活動法人 アクションおっぱま
代表者名 昌子 住江
設立年 2004年
助成額 48万円
拠点ミュージアム名 横須賀市追浜行政センター内 郷土資料室(神奈川)

 追浜地区には、大規模な地下壕等の戦跡が残されている他、縄文の夏島貝塚、明治憲法起草の地の碑など、様々な歴史遺産がある。近年、追浜行政センターの一角に郷土資料が集められて公開されているが、あまり市民には知られていないという。この団体は、横須賀市追浜地区に関わる様々なセクターが集まってまちづくりに関する課題を解決することを目的としている。民間企業内にあった東京湾第三海堡遺構が、市民運動の結果、横須賀市の夏島都市緑地内に移設されたのを機に、史跡や戦跡、産業施設・研究機関、自然環境等をあらわした地域資源マップを作成して、フィールドミュ-ジアム化し、町おこしに役立てたいという企画を考えている。見学のしおり作成から始めて、市民ガイドの養成、最終的にはフィールドミュージアムの立ち上げを目指している。近代の歴史遺産を中心に町全体を見直し、フィールドミュージアムに育て上げていくというプランは壮大であるが、うずもれた歴史資産をもっている中堅都市の市民活動のひとつのあり方として注目したい。
 


 
助成番号  10-1-04
プロジェクト名 135歳の木造校舎「津金学校」の開校記念日を祝おう!!プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 文化資源活用協会
代表者名 高橋 正明
設立年 1999年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 北杜市立須玉歴史資料館(山梨)

 明治8年に建造され、昭和60年に廃校となり、今は北杜市立須玉歴史資料館として活用されている「旧・津金学校」を、135年目の今年、1日だけ開校させようという復活プロジェクトである。廃校になって35年を経た現在でも、校舎もグランドも残されているのに、子ども達の姿はなく、学校のチャイムの音も聞こえない。この歴史的資産ともいえる建物を中心に、地域の人々を巻き込んで、一日だけ津金学校の開校をしようという発想がユニークである。ともすれば、イベントに終わってしまうような企画だが、「新・津金学校の教科書」を作り、「音楽・芸術の時間」「歴史の時間」「社会・修身の時間」に沿って、実際に地元の小学生や大人が一緒に学ぶ(遊ぶ)企画を提供する。次年度以降も、恒例の行事として育てていきたいとこの団体は思っている。この企画を定例化していくためにしっかりした内容を企画している。日本各地に残る廃校は、アートの空間に変更されたりと、様々な活用が試みられているが、この「津金学校」の企画は、地域の人々を育んだ学校を歴史的に活用する手段として、ユニークであり、この助成がきっかけとなって、毎年継続していただければ、意義の深いことである。
 


 
助成番号  10-1-05
プロジェクト名 火焔街道博学連携プロジェクト
団体名 火焔街道博学連携推進研究会
代表者名 藤岡 達也
設立年 2002年
助成額 37万円
拠点ミュージアム名 新潟県立歴史博物館(新潟)

 この団体は、信濃川中流域に広がる縄文文化を核とし、市民が流域の新潟県立歴史博物館、十日町市立博物館、長岡市立科学博物館を拠点として市役所の生涯学習課や小学校と連携して、子どもたちの歴史学習を支援している。これまでに35校、1,567名の子どもたちが参加している。
 本プロジェクトは、市民と博物館、小学校が連携して「縄文文化の学習」をする。その具体的な取り組みは、交流学習会、縄文子どもフォーラム、子ども縄文研究展、縄文体験活動などである。拠点ミュージアムの学芸員、各地区の小学校教員や市民、大学教授などがその実施主体となる。
 本活動はこれまでに8年にも及ぶが、今回の助成を契機にして、さらなる継続性とともに、マネジメント面の充実にも期待したい。
 


 
助成番号  10-1-06
プロジェクト名 森ツーリズム 〜縄文からつづく森との共生を感じる
団体名 特定非営利活動法人 信州そまびとクラブ
代表者名 工藤 孝一
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 浅間縄文ミュージアム(長野)

 この団体は木こり集団として、森林組合からも敬遠され、引き受け手がない民有林を中心に森林整備している。森林を利用した環境教育や、森林や林業の広報活動なども行っている。
 本プロジェクトは、ミュージアムを拠点にして地域と都市で暮らす人たちとの交流をはかるための『森ツーリズム』である。佐久地方の2市6町4村をエリアとし、データベースを構築して電子マップとし、スマートフォンを使ってガイドデータを持ち歩くことができるようにする。またガイドツアーやレクチャーなども企画して、都市の生活者にも人と森との共生を考える機会を提供する。
 木こり市民とミュージアムの連携は、これまでにない斬新な試みだといえる。地域の森林資源の保護や環境教育などに活かしていければ、ミュージアムのさらなる可能性が開ける。本活動に期待したい。
 


 
助成番号  10-1-07
プロジェクト名 塩田の里交流館「とっこ館」アート拠点化プロジェクト〜塩田の魅力アート展示と作品ポイントを巡ろう〜
団体名 塩田・すぐりの村づくりの会
代表者名 大口 義明
設立年 2010年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 塩田の里交流館(長野)

 この団体は地元の資源を活用しながら地域振興と活性策の策定を目指す団体であり、この会での活動歴は短いものの、前身の団体がある。今回の応募では、地元の作家が描いたこの地域のスケッチ画の提供を受けて、このスケッチ画にかかれた風景の現在の様子を写真に撮影して、スケッチ画と共に合わせて展示をするとともに、その作品を幾つかのコースに仕立てて、町歩きの事業を行うことで、地域の再発見や、場所によっては景観の復元を行おうとするものである。古写真と現在の写真を比較することで地域に起こってきた変化を知るという手法は各地で行われているが、スケッチ画を使った試みは例がない。新しい手法であるとともに、展示だけではなく、スケッチの現場に出て行くことで、町の人を巻き込んで、地域全体を「屋根のない博物館」にするという町おこしにつながる活動は非常に意欲的なものであり、成果に期待したい。
 


 
助成番号  10-1-08
プロジェクト名 となみヤングパワープロジェクト〜高校生による美術館・芸術作品紹介映像制作等支援事業〜
団体名 特定非営利活動法人 F-site
代表者名 稲林 忠雄
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 砺波市美術館(富山)

 この団体は、富山県内で、文化・スポーツなど活動をサポートするとともに、青少年育成、国際交流、芸術文化振興等を目的とした企画を推進している。本プロジェクトは、砺波市美術館やそこで行われる企画展の紹介映像を、富山県立砺波高等学校の生徒たちに制作、発表してもらおうというものである。すぐ近隣に位置するにもかかわらず、同校の生徒の多くが砺波市美術館に一度も訪れたことがないことがわかり、そのことが本プロジェクト立ち上げのきっかけとなったという。高校生という少々アプローチの難しい対象に対し、美術鑑賞の意義や効用を説くのではなく、映像によるプロモーションに手を貸してほしいと語りかけるアイデアは卓抜である。おそらくこのような状況は全国どこにでもあるであろうから、うまくいけば他への波及も期待できよう。そのためにもぜひその成果を確かめてみたいものである。
 


 
助成番号  10-1-09
プロジェクト名 電車が市民のハレ舞台に変身! 創作活動を通して生み出す コミュニティプラットホーム、コミュニティミュージアム
団体名 石坂線21駅の顔づくりグループ
代表者名 福井 美知子
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大津市立長等創作展示館(三橋節子美術館)(滋賀)

 この団体は地域の公共交通を、市民自身の交流や表現活動の場とすることで、多くの人に公共交通に親しみを持ってもらい、地域の足という強みを生かして沿線の魅力を発信して町作りに活用しようというユニークな活動をしてきた。そして今回の応募では、デザイナーの協力を得ながら、電車に関するメッセージを募集し、そのメッセージを絵や書の作品にして、沿線の駅と電車に掲示・演出をするとともに、駅ごとに活動している市民団体等と協力して駅を使った創作活動などのワークショップと展示をしようというモノである。「日本で一番長い美術館・石坂線みんなで文化祭」はその意図をよく表してユニークであり、同時に沿線の市民団体を巻き込むことで、非常に幅の広い町作り活動にもつながっていくことが予想される。なお、拠点ミュージアムとの関わりがやや曖昧に見えるため、活動の進捗に応じて、ミュージアムとの相互の連携も期待したい。
 


 
助成番号  10-1-10
プロジェクト名 歴史系博物館で活躍してほしい大学生の組織づくりプロジェクト―住まいと暮らしの文化を次世代につなぐ学習支援活動のために―
団体名 博物館住まい学習研究会
代表者名 碓田 智子
設立年 2005年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)(大阪)

 この団体はもともと拠点ミュージアムの展示室を使って、住まい学習の研究をしながら、その実践として子どもを対象とした住まいや暮らしに関する文化を伝える活動を行ってきているグループである。そうした活動の中で歴史系の博物館には、若い利用者、特に大学生の見学や利用が少ないこと、そしてそういう若い層が子どもたちの学習活動の指導に当たれば、より効果があると考えて、大学生を巻き込んだ活動をしようと言う計画で、今回の応募をしている。事前に大学生を募集し、博物館の展示室で行う子ども対象の町屋の体験学習を展示室のボランティアとともに指導して、その後の事業の評価を行うとともに、大学生が参加・指導することの評価を行って、今後の活動の発展につなげていこうという活動である。大学生や高校生などの若い博物館利用者の比率が非常に低いことはよく知られており、この活動で大学生を博物館の活動に参加してもらうためのノウハウやその意味等が整理されることを期待したい。
 


 
助成番号  10-1-11
プロジェクト名 わらべ館・子どものための童謡・唱歌自由研究講座プロジェクト
団体名 わらべ館・子どものための童謡・唱歌自由研究講座プロジェクトチーム
代表者名 藤井 浩基
設立年 2009年
助成額 49万円
拠点ミュージアム名 鳥取県立童謡館・鳥取世界おもちゃ館「わらべ館」(鳥取)

 鳥取わらべ館は、童謡・唱歌とおもちゃをテーマとした複合ミュージアムで、地域おこしの一環として、地域にゆかりのある音楽家を顕彰し、童謡・唱歌の普及・啓発活動を行なっているという。申請企画は、「夏休み童謡・唱歌自由研究講座」を子ども向けに開催して、児童に新しい自由研究テーマを創出してモデル化し、童謡や唱歌に親しむ機会を増やして次世代につなげていこうというものである。この活動には、地元大学の教育学の専門家、教師や、教育学部の学生などがボランティアとしてかかわり、博物館を中心とした市民活動というより、教育研究に近い活動と思われる。しかし、郷土の資産である童謡・唱歌を自由研究という形に育てていき、ゆくゆくは、ボランティアスタッフも育成して、持続性のある活動にしていくというビジョンを持っているので、そのビジョン達成を応援したいと考えた。教育のプロが活動に関わっているので、自由研究だけでなく、この郷土資源を活用したユニークな企画も今後期待したい。
 


 
助成番号  10-1-12
プロジェクト名 地域文化の「備中綿語り部」ガイドと、県民的規模によるオーガニック備中綿復元活動「一家十株植栽運動」大プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 玉島百働会
代表者名 瀧澤 房子
設立年 1966年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 倉敷市玉島歴史民俗海洋資料館(岡山)

 この団体は、「百歳まで働こう!」を合言葉に、高齢者が長年培ってきた才能・経験・知恵・技能などを、ボランティア活動を通じて社会に還元することを通じ、平和な健康長寿社会を構築することを目的としており、その体制も卒寿(90歳)を迎えられた理事長を筆頭に、最年少が還暦(60歳)という超シニアなメンバーとなっている。
 提案されたプロジェクトは、「幻の綿」と呼ばれる「備中綿」を、倉敷市玉島歴史民俗海洋資料館との協力によって、現代に復元・再生するというもの。「備中綿」は、今から340年前の時代に盛んに植栽されたものの、19世紀末に西洋綿の輸入により産地として壊滅してしまった、とのことである。
 地域住民も忘れかけている「備中綿」を、県民的規模での「一家十株植栽運動」にて再生しようという“大風呂敷”な申請内容ではあるが、シニアの皆さんの熱意によって本当に実現するのではないか、という期待感を抱かせてくれる。
 


 
助成番号  10-1-13
プロジェクト名 平和教育ファシリテーター養成講座
団体名 特定非営利活動法人 これからの学びネットワーク
代表者名 堀江 清二
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 広島平和記念資料館(広島)

 この団体は、社会教育、人権擁護、平和推進等の分野で活動する広島市の団体である。これまで広島で行われてきた平和教育においては、平和記念資料館の見学、語り部やガイドによる解説、映画鑑賞等が中心であった。本団体では、これら「見る」「聞く」といった受動的な学習に加え、「話す」「共有する」といった能動的な学習の体系をつくることを主眼に、独自のワークショップを開発・実施してきた。本プロジェクトは、広島平和記念資料館と協働し、ワークショップの進行役であるファシリテーターを養成しようというものである。語り部も高齢化が進み、若い世代の感性も変容するなか、効果的な平和教育を継続していくためには、時代に応じた新しい手法も模索されねばならない。身近な素材から平和を考えさせていくことのできる人材の養成は、ワークショップの質を確保するうえで非常に重要であり、ぜひ成果を期待したいところである。
 


 
助成番号  10-1-14
プロジェクト名 砂浜写真展プロジェクト
団体名 野の手仕事仲間たち
代表者名 千葉 洋
設立年 1998年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 砂浜美術館(高知)

 本プロジェクトの舞台となる「砂浜美術館」は、延長約4キロにわたる砂浜を、そのまま“美術館”に見立てたというバーチャルなミュージアムであり、全国でも注目される「Tシャツアート展」をはじめ、今までも様々なイベントが行われている。
 この団体は、自然素材で創作活動をしている仲間たちが集まった任意団体である。今回は砂浜美術館にプロの写真家を講師に招いて写真撮影会を行い、「砂浜写真展」を開催する、という事業を提案しているが、同事業には、国の重要文化財にも指定されている松原や美しい砂浜の写真を撮影する体験を通じて、参加者が自然の素晴らしさを再発見してほしい、という願いがこめられている。
 今後、撮影会及び展示会の参加者(鑑賞者)をどのように公募・動員するのか、など、具体的な課題を解決していくことで、本プロジェクトが「Tシャツアート展」に続く名物企画に成長することを期待したい。
 


 
助成番号  10-1-15
プロジェクト名 絵ゴコロでCO2削減!まんが展覧会開催
合言葉は【まんがでエコ】
団体名 一般社団法人 コミュニティシンクタンク北九州
代表者名 浜野 一俊
設立年 2010年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 北九州市環境ミュージアム(福岡)

 この団体は「ひとづくり」「ものづくり」「まちづくり」「にぎわいづくり」をテーマにして、人と地域を元気にするための活動を始めた団体で、活動歴はまだ少ないが、社会的な活動を目指す団体である。今回の応募は、タイトルのとおりで、北九州市の環境ミュージアムを拠点ミュージアムとして、環境に関する漫画を募集し、審査して展示を行うとともに、市のエコイベントで表彰をおこなうというものである。内容は比較的単純ではあるが、社会的な課題である環境問題を漫画で表現するキャンペーンを広げ、その活動を通して、環境ミュージアムの魅力を高めることや定着を意図しており、同時に2012年にオープン予定の漫画ミュージアムのプレ・ムーブメントともするという計画である。漫画を使った環境問題の話題化と環境ミュージアムの底上げに期待をしたい。
 


 
助成番号  10-1-16
プロジェクト名 丸ごと西都原古墳群体験!西都原考古博物館アート・キャンプ
団体名 特定非営利活動法人 iさいと
代表者名 井上 優
設立年 2003年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 宮崎県立西都原考古博物館(宮崎)

 この団体は、宮崎県西都市を拠点に、まちづくりやグリーンツーリズム、文化発信事業、市民活動向けの啓発講座開催等を行うNPO法人である。本プロジェクトは、宮崎県内の小学生を対象に、西都原考古博物館で展示されている考古学の遺物をアート作品として鑑賞し、そこから得たインスピレーションを古代の技法と材料で作品化しようという企画である。子どもたちが五感を使って古代を体験できるよう、野外で多様なプログラムが組まれているのが特色といえる。申請者が同館の運営支援を県から受託している立場であることや、20名程度が1泊するだけのキャンプとしてはやや高コストである点など、選考に当たっては懸念する部分もあったが、受託業務外で新しいプログラムを開発するプロセスであると理解し、推すこととした。今回の試みが、博物館を拠点としたツーリズムの優れたモデルとなって、今後さまざまな形で活用されていくことを期待したい。
 



   


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