第5回の選考を終えて

選考委員長 樺山 紘一

 花王・コミュニティミュージアム・プログラムにつき、簡潔にその選後講評を記します。今回にあっては、まずこのプログラムの第5回の選考を行いました。2年目と3年目の助成については、それぞれ9件と5件を選考しました。これらは、さすがに複数年のプロジェクト活動を遂行してきただけあって、ポイントをついた秀逸な活動計画であると評価しました。助成額は、けっして巨額とはいいがたいものですが、有効に使用してこのプロジェクトの成果達成に努力していただきたいと思います。
 今回をもって、コミュニティミュージアム・プログラムの公募は終了になりますが、他方にあって、特別助成の臨時枠が設定されました。2011年3月に発生した東日本大震災からの復興を支援する活動への特別助成です。これまでミュージアム活動を対象としてきたプロジェクトとしては、いくらか軌道修正をこころみたところですが、文化や芸術などを中心として、被災地や被災者への支援を企図するのは、十分に合理性があるものと判断しました。ただし、災害の勃発からほんの数か月しかたたぬうちに、この助成公募をおこなったため、その周知についてはいささかの不安を抱いていました。しかし、実際にはごく短期間にもかかわらず、じつに172件の応募をいただきました。反響と関心の深さに驚いた次第です。そのうち24件に助成の採択を決定しましたが、このほかにも、可能であれば支援したい多数の案件があったことを、報告しておきます。
 ところで、この被災地支援の特別助成の一環として、一部にこんな企画を加えてみました。それは、コミュニティミュージアム・プログラムで助成してきた既往のグループのうちから、被災地支援に出動したいと考えるチ−ムに助成しようということでした。これまでの助成活動での経験を活かし、ほかのチ−ムとも連携しながらの活動の取り組みを期待するという趣旨です。それは、4回にのぼるプロジェクトの蓄積成果を問うものでもあります。結果として採択されたもののうちには、たとえば兵庫県佐用町昆虫館の「こどもとむしの会」のように、みずからかつて水害に襲われ、そこからの復興をめざす博物館ボランティアのようなケ−スも含まれています。その経験は、かならずや今回の被災地支援にあって有効な結果につながるものと確信いたしました。
 被災地支援については、その評価にあっては、大きな困難をともないました。事態の推移が見通しにくいからです。その現状のなかで、ともかくも被災地の当事者であれ、またほかの地方からであれ、被災者の立場にたって現場の事情をよく理解した支援活動、またできることであれば、ある程度の継続性を目指すものを優先させたつもりです。実際には、この助成活動が開始される本年8月以降にあって、どのような計画が実施できるか、いまだ予測困難なところが多々あります。今回、助成を受けられるチ−ムの皆さんにあっても、この流動的な状況をよく見分けながら、なによりも被災当事者の立場をよく理解して、適正な方途を発案していただきたいというのが、当委員会のたっての希望です。
 震災に直面して、助成活動にも新たな要素が加わりましたが、全体として文化や芸術を共通の基盤としつつ、コミュニティの活動のなかから、新たな可能性を模索しようという意図は、当初からまったく変わっていません。これまで各方面からいただいたご助力に深く感謝するとともに、今後のますますのご支援をお願い申しあげる次第です。



   



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