[継続3年目助成]

 
助成番号  11-3-01
プロジェクト名 みんなの美術館プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 エイブル・アート・ジャパン
代表者名 吉永 宏
設立年 1994年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川)

 エイブル・アート・ジャパンは、ハンディキャップを持った人にとっての美術館の楽しみ方、美術作品の楽しみ方のプログラム開発をテーマにして活動をされ、本助成当初の2年間においても、高齢者、障がいを持った人、幼児連れの美術館利用など、実践的に美術館で活動をし、成果を挙げてきた。今回の3年目においては、これまでの成果をまとめて、コンセプトブックを作成し、またワークショップやシンポジウムの開催などを計画して、各地の美術館で同様な試みが起こることを誘発する活動を行なうということである。
 博物館の館種の中でも来館者対応が難しい美術館において、美術館の楽しみ方について提案をするということは、美術館のみならず、展示の有り方や博物館というものの有り方にまで議論を広げることができるという点において独創的、積極的な活動であり、今後の博物館界への影響も大きいと考えられる。



 
助成番号  11-3-02
プロジェクト名 「小さな昆虫館を増やそう」プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 こどもとむしの会
代表者名 内藤 親彦
設立年 2007年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 佐用町昆虫館(兵庫)

 「NPO法人こどもとむしの会」は、廃館となった(旧)兵庫県昆虫館を前身とする佐用町昆虫館を拠点としている。この地方自治体が継続できなかったミュージアムを拠点に、同好会のように集まったメンバーがNPOを設立し、指定管理者となって施設を運営するという、他に例の無い取り組みを行っている。
 この団体では、これまで1年目助成として「廃止された地方の小さな昆虫館をみんなで再生させるプロジェクト」と、続く2年目で「『ガチャポンカンパ』システムの構築」に取り組んできた。これらの成果として、「地方の小規模なミュージアムにも運営の選択肢がある」ことを広く提示できる段階となったようである。
 今回のプロジェクトは、ボランティアが設立したような、他の小規模な昆虫館とネットワークを構築して、その運動を全国に広めようという活動であり、とてもユニークな発想である。変化し続ける、小さな昆虫館のプロジェクトをぜひ見届けたい。
 


 
助成番号  11-3-03
プロジェクト名 ささやまの「ほんものアーティスト」とあそぼう!
団体名 篠山チルドレンズミュージアム
ミュージアムクラブ
代表者名 垣内 敬造
設立年 2000年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 篠山チルドレンズミュージアム(兵庫)

 この団体は、篠山チルドレンズミュージアムの支援団体として、地域住民の手によって立ち上げられた。本プロジェクトは、地元を拠点に活動しているアーティストたちによるさまざまなワークショップを通じて、子どもたちに篠山の素晴らしさを体感してもらおうというものである。
 本プロジェクトは、助成初年度に、市の財政難から、それまで共働していた指定管理者が交代する事態となり、一時は存続の危機を迎えた。しかし、プロジェクトの継続を望む声は多く、2年目の助成を受けて、昨年も5回のワークショップが実現するに至った。結果的にこのことが、新しい指定管理者との良好な関係を築く契機ともなったとのことである。
 今回はワークショップのほか、これまでの実績やプロジェクトのノウハウを文書化し公開するなど、情報の普及にも注力する予定である。財政的な困難の中、ミュージアムと地域の市民が連携し成果を上げた好事例として、多くの関係者に参照されることを期待する。



 
助成番号  11-3-04
プロジェクト名 みんなで学ぼう幕末長州藩の大砲づくり
団体名 幕末長州科学技術史研究会
代表者名 樹下 明紀
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 萩博物館(山口)

 この団体は、幕末長州の科学技術史を掘り起こし、維新史を科学・産業技術の視点から再評価して、日本の近代化の原点を明らかにする活動に取り組んでいる。これまでに萩博物館の協力を得ながら国内外の長州砲の調査研究をして、幕末期の大砲鋳造溶鉱炉を再現して1/6 や1/3スケールのレプリカ鋳造実験が行われた。その活動は市民に公開されて機関紙にもまとめられた。
 今回は、今後予定している実物大のレプリカ鋳造をめざして、市民に活動を普及して支援者を得ることにあり、シンポジウム、小中学校への出前授業や冊子を制作する。本活動は、実物大の大砲レプリカ鋳造を目標に掲げている。それを達成するには研究調査や技術面ばかりでなく、博物館との連携や市民から支援を得ることや、団体自体がマネジメント力をつけることなどの諸課題を解決しなければならない。まさにそのプロセスに市民としての<学び>の意義を見出すことができる。



 
助成番号  11-3-05
プロジェクト名 「150年前の有田皿山ば歩こう隊」PART3
団体名 特定非営利活動法人 アリタ・ガイド・クラブ
代表者名 大橋 康二
設立年 2009年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 有田町歴史民俗資料館(佐賀)

 「有田皿山ば歩こう隊」は、2010年に有田皿山の内山地区、2011年に外山地区を古地図をもとに踏査し、現代のまち歩き図を作成し、「歩こう会」も開催して、郷土愛を深める活動を行なってきた。
 3年目の活動は、踏査調査で得た情報と古地図を一体させた小冊子を作成し、子ども達にも参加の輪を広げ、世代間交流をはかっていく計画である。有田焼の歴史は400年を迎え、陶器市には全国から多くの観光客が訪れるようであるが、陶器自体の産業は厳しい状況である。観光育成の一環として、地域の魅力を掘り起こす活動を行なうことは意義深いが、ふるさとの財産である歴史を理解し、子ども達に伝えていく活動は、より社会的意義が高い活動と思われる。地域の活性化に繋げるためには、多様な年齢層の皿山に関心のない人々にも関心をもってもらい、地域全体の活動として認知されることが大切である。本年は、冊子の内容や町歩きの企画など、さらなる工夫を望む。




[継続2年目助成]

 
助成番号  11-2-01
プロジェクト名 ナキウサギの鳴く里づくり「絵本作成」プロジェクト
団体名 ナキウサギの鳴く里づくりプロジェクト
代表者名 倉橋 昭夫
設立年 2008年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 富良野市博物館(北海道)

 本プロジェクトの提案団体「ナキウサギの鳴く里づくりプロジェクト協議会」は、市民団体・研究者・企業・行政など、様々な主体の連携によって運営されており、また、その構成員は様々な分野を専門性とする人材とのことで、地域が結束してナキウサギの保全に取り組んでいる様子がうかがえる。
 初年度の助成プロジェクトにおいて、本来であればナキウサギを題材とした「絵本」が制作されているはずであったが、スケジュールの想定が甘かったためか、残念ながら「絵本」の制作には至らず、この「絵本」化はプロジェクトの大きな課題として残されていた。
 今回はその“挫折感”をバネとしての再チャレンジであり、初年度のプロジェクトで得られた子どもたちの「想い」を、絵本のストーリーにうまく取り込むことにより、ぜひ初心を貫徹し、独創的な「絵本」づくりを完成させていただきたい。
 


 
助成番号  11-2-02
プロジェクト名 杉並のライフヒストリー(生活史)の収集で時代の証言を!!
団体名 特定非営利活動法人 すぎなみムーサ
代表者名 石田 金次郎
設立年 2010年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 杉並区立郷土博物館(東京)

 この団体は、杉並区が開催した区民講座の受講生が講座終了後の2010年に組織化した新しいNPO法人で、杉並区立郷土博物館を拠点に区民の目線で親しまれる博物館づくりへの貢献を目指している。1年目の助成では、『杉並のライフヒストリー(生活史)の収集で時代の証言を』をテーマに、杉並区の職人にフォーカスして、歴史的意義から現在にいたる軌跡を調査研究し、そのまとめを区民センターにて自主展示をおこなった。2年目の助成では、杉並区内で盛業中の「職人企業」もしくは「企業内職人」にテーマを絞り、職人技の継承と産業の発展を研究し、産業の視点からふるさと杉並の姿を明らかにして、区民や小中学生に伝え、社会教育に寄与したいという。博物館を核とした正当派の生涯教育の実践活動である。この継続助成によって団体としての活動の基礎を築かれることを期待したい。
 


 
助成番号  11-2-03
プロジェクト名 「歩いて実感おっぱまの歴史〜市民によるフィールドミュージアムづくりに向けて」
団体名 特定非営利活動法人 アクションおっぱま
代表者名 昌子 住江
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 横須賀市自然・人文博物館(神奈川)

 この団体は神奈川県横須賀市追浜地区に関係する市民・企業・行政などと連携をはかり、近代の歴史遺産である東京湾第三海堡遺構の保存活動などを通じて、まちづくりの問題解決に取り組んでいる。そのために助成1年目には、見学用冊子の作成やシンポジウムなどを実施して地域の人たちに周知した。
 今回は、これまでの活動を踏まえて、市民自身が地域の歴史資料を保存・公開するために拠点とする追浜行政センター内の郷土資料室などをサテライトミュージアムにする構想である。そのためには横須賀市自然・人文博物館との連携が欠かせない。市民は行政や市博物館と意思疎通をうまくとり信頼関係づくりを心掛けていく。行政や公立博物館がそれをきちんと受け入れて、官民協働による地域のミュージアムネットワークができることを期待したい。
 


 
助成番号  11-2-04
プロジェクト名 火焔街道博学連携プロジェクト
団体名 火焔街道博学連携推進研究会
代表者名 藤岡 達也
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 新潟県立歴史博物館(新潟)

 4校の学校が5館の博物館の学芸員の協力を得て、博物館を使った体験学習やシンポジウム、展示会、交流会などを行い、博学連携の事業を各地で広めていくことを目的とした活動である。2年目の計画では、1年目と同じことを繰り返すのではなく、さらに活動の幅を広げ、子ども縄文研究展や子ども縄文ツアーなども計画がされている。
 博学連携はともすれば一方がもう一方を利用することだけが行なわれていることが多く、双方の十分な相談を行うことで、効果的な内容になると考えられる。この活動では当初から複数同士の博物館と学校とが協力して新しいプログラムを実施しようとしている点がユニークであり、またそのために成果を挙げている。この活動を全国に広げようと意図しており、また参加してきた子どもたちの中から専門家を生み出したいという意思は、博物館にとっては、一方では非常に大切な姿勢であると思う。
 


 
助成番号  11-2-05
プロジェクト名 となみヤングパワープロジェクト
〜高校生による美術館・芸術作品紹介
映像制作等支援事業〜
団体名 特定非営利活動法人 F-site
代表者名 稲林 忠雄
設立年 2004年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 砺波市美術館(富山)

 この団体は、富山県内の文化・スポーツなどの活動をサポートし、青少年育成、国際交流、芸術文化振興などを目的に活動している。本プロジェクトは、富山県立砺波高等学校の生徒の多くが隣接する砺波市美術館に訪れたことがないという問題を改善することにあり、この団体が高校や美術館のコーディネート役となり、高校生たちに映像のプロモーションに手を貸してほしいと参加を呼び掛けて始まった。前回は、映像制作のワークショップなどを経て、美術館で開催された「惑星探査機はやぶさ展示会」のCMを制作・上演した。学芸員と高校生たちとの信頼関係が生まれて、生徒たちの自主的な活動も目立つようになったという。
 今回は、これまでの活動をさらに発展させるために継続的な取り組みをする。英国の地域博物館(ドーバー博物館)では、やはり高校生が制作した高校生の視点による博物館のプロモーションビデオを館内で紹介した。これは博物館を自分たちに置き換えて考える機会になる。今後はそのような取り組みがあってもよいだろう。
 


 
助成番号  11-2-06
プロジェクト名 テーマは青春!電車がつなぐミュージアム・主役は若者たち
団体名 石坂線21駅の顔づくりグループ
代表者名 福井 美知子
設立年 2002年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 大津市歴史博物館、大津市立長等創作展示館(三橋節子美術館)(滋賀)

 副題も含め86文字もある、長い長いプロジェクト名※に、プロジェクト・メンバーの熱い想いが込められているように思われる。
 本プロジェクトは、地域の社会資本である公共交通・石坂線を、「待っていればやってく
る」「日本で一番細長い」美術館に見立て、文字通り、地域の文化資産を生かした、コミュニティのプラットフォームにしようというプロジェクトである。
 拠点ミュージアムとの関係は、初年度における「大津市立長等創作展示館」との協働プロジェクトの成功を踏まえ、2年目においてはさらに「大津市歴史博物館」を加えた2つのミュージアムとの協働に発展している。
 正直のところ、プロジェクト内容そのものは必ずしも先進的ではないが、そのことがむしろマイナーで地域密着型の路線イメージにも合っているように思われ、地に足の着いた身の丈サイズの取り組みであると評価したい。

※副題「石坂線みんなで文化祭 〜14.1km 日本で一番細長い美術館〜」「歴史と文化をまなび表現する、そして深まる地域への愛着」

 


 
助成番号  11-2-07
プロジェクト名 地域歴史文化・備中綿語り部ガイド、オーガニック備中綿復元活動・一家十株植栽運動と、東日本大震災塩害農地修復支援大プロジェクト
団体名 特定非営利活動法人 玉島百働会
代表者名 瀧澤 房子
設立年 1966年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 倉敷市玉島歴史民俗海洋資料館(岡山)

 とにかくユニークな活動団体であり、活動内容である。備中綿に関するあらゆることを試み、同時にその活動を地域社会の中にも発信しようとしている点も貴重である。さらに100歳まではみんな元気で活動しようといい、実際にそうなりつつあるような様子は、いかにも頼もしい。2年目は初年度と同様に栽培からワークショップまで計画され、書かれている実施項目だけでも16項目もあり非常に活発であるが、同時にもともと備中綿が干拓地の塩害対策として始まった点から、今回の東日本大震災の津波被害地対策として現地に和綿を定着させ、土壌改良を図るとともに、綿の拡大を目指すという。
 全てにわたって意欲的であり、地域社会の中での発信や地域環境にまで議論を発展させようとしている点、また確実に実行することで、備中綿を広げていくことに成果を上げている点は注目に値する。
 


 
助成番号  11-2-08
プロジェクト名 砂浜・笑顔写真展プロジェクト
団体名 野の手仕事仲間たち
代表者名 千葉 洋
設立年 1998年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 NPO砂浜美術館(高知)

 この団体は、自然素材で創作活動を行っている仲間たちが集まり、多くの人々に伝統工芸や自然環境に対する関心と理解を深めてもらう活動に取り組んでいる。助成1年目では地元黒潮町の美しい自然を紹介するために、プロの写真家を招いた砂浜撮影会と講演会を行うとともに、募集した写真による「第1回砂浜写真コンテスト」を行い好評を得た。今回の助成では、同事業の継続を目指して、引き続き「砂浜・笑顔写真コンテスト」と「砂浜・笑顔写真展」の実施に取り組む。今回はさらに多くの人の参加を目指し、砂浜美術館の「Tシャツアート展」との同時開催などにより、県外からの参加呼び込みなどの工夫も行う。今後本事業が定着し、砂浜美術館を核とした他のグループとのゆるやかな連携により、地域の魅力を発信し続けることと、新たに生まれたつながりがゆるやかに続くことをを期待している。
 


 
助成番号  11-2-09
プロジェクト名 みんなで描く「かぶとがにっきin海きらら」
団体名 九十九島ランブラーズクラブ
代表者名 江口 友美
設立年 2001年
助成額 50万円
拠点ミュージアム名 九十九島水族館 海きらら(長崎)

 この団体は、九十九島水族館との連携により、調査・研究活動のほか、教育プログラムの提供などを行っている。本プロジェクトは、2009年にリニューアルオープンした同水族館の専用コーナーを活用し、「生きた化石」カブトガニに関する調査の成果報告・情報発信を行うと同時に、館内や近隣地域において子供たちを対象にした体験型活動支援を行うものである。カブトガニという存在を通して、地域への愛着を深めていこうという狙いもある。
 助成1年目の活動においては、申請事業が順調に推移しただけでなく、近隣の小学校とのプログラム面での連携や、他団体との共同調査など、今後につながる新しい展開もみられた。また、同団体の活動に対する水族館側の評価も良好であり、信頼関係がさらに深まった様子である。本プログラムの他の活動助成団体との交流も芽生えているとのことで、20歳代のメンバーが中心の若い団体ながら、コミュニケーション力の高さが窺える。
 団体自体もまだまだ成長の途上にあり、今後の展開にさらに期待がもたれる。
 




   


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