助成番号  14-1-1

地域で病気療養するこどもときょうだいを支えるための「あそびかた研究会」の実施


団体名 一般社団法人 こどものホスピスプロジェクト
http://www.childrenshospice.jp

助成額 215万円

(団体について)
 こどものホスピスプロジェクトは、日本における「こどものホスピス」の普及を目指しています。こどものホスピスは、命を脅かす病気を持つこどもとその家族に、遊び、癒し、交流などのプログラムを通じて友のように関わる民間の活動(病院ではない環境)で、病院における「小児緩和ケア」と連携し、主に在宅療養するこども達を対象とすること、地域の寄付や企業の助成金で支えられるチャリティー活動であることが特徴です。団体設立後できるところから始めるということで、主に教育支援・訪問支援・小旅行支援・遺族支援などを、家族的な関わりの中で病院や在宅機関と連携しながら行ってきましたが、多くの方々の協力を得て、2016年4月にはいよいよ「TSURUMIこどもホスピス」(大阪市鶴見区)を開設することができました。

(助成による活動と成果)
 この間、病院や在宅における重い病状の子どもたちとそのきょうだいとの「あそびかた」を学ぶ機会が、子どもたちと関わる保育士、看護士、医師などの専門職やボランティアなどから求められていたことから、協力団体の「しぶたね」や「あそぼっくる」とともに「あそびかた研究会」を立ち上げ、本助成(2012・2013・2014年)により取り組んできました。
 今回の「あそびかた研究会」では、毎月定期的に行う「連続講座」(8回)には毎回25名程度が講座・実習に参加し、「公開講座」では広く子どもたちやきょうだい、家族の状況を伝えることを目指しました。さらに、学びの成果を子どもたちとそのきょうだいに還元するために夏休みに行った「あそびかたフェスタ」(第3回)は大変好評で、参加者も282人と前回の約2倍となり、にぎやかな声が会場いっぱいに広がりました。
 3年間の助成を通じた活動の成果では、専門職やボランティアなどが連続講座を通じて「あそびかた」の質を高め、各自の仕事を通じ子どもたちやきょうだいに日常的に還元できたこと、新しくボランティアを始めた人が出たこと、また関係者・団体のネットワークが広がったこと、また活動全体として「あそびかた研究会」の基礎づくりができたことを喜んでいます。

(残された課題、新たな課題)
 残された課題としては、これまでの実績と成果を活かし展開していくためにも、活動の継続性を高めるため運営の検討を続ける必要があります。活動の新たな発展を考え、3団体連携の枠組みから新たな展開を図っていくことも考えております。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 こどもの成長には「あそび」が必要不可欠ですが、長期入院・在宅療養するこどもたちとそのきょうだいは、その経験が制限されがちです。またそのような子どもたちが可能な「あそび」が提供できる医療・保育関係の専門職やボランティアも望まれています。
 引き続き「あそびの人材」が数多く育つことを願い、ご関心のある方々に是非参加していただき、ともに長期入院・在宅療養する子どもたちときょうだいに「あそび」を届けていければと思います。



 
助成番号  14-1-2

医療的ケアの必要な子どもたちの可能性が無限大
〜地域啓発に向けた広報ツールの作成〜


団体名 バクバクの会
http://www.bakubaku.org/

助成額 200万円

(団体について)
 バクバクの会(旧 人工呼吸器をつけた子の親の会)は、1989年、長期に渡り人工呼吸器をつけている子どもたちの、安全で快適な入院生活と生きる喜びを願い、淀川キリスト教病院の院内家族の会として発足しました。翌年、呼吸器をつけていてもどんな障害があっても、ひとりの人間ひとりの子どもとして社会の中で当たり前に生きるためのより良い環境づくりをめざし、全国にネットワークを拡げ、全国組織として活動を開始しました。人工呼吸器をつけた子どもたちは、自らの人生をイキイキと生き、成長し、保育園や学校に通ったり、電車やバスに乗って旅行を楽しんだりと、生活の場や世界をどんどん拡げていきました。私たちは、子どもたちの命と思いに寄り添いながら、時に子どもたちから教えられながら、できないではなく、どうしたらできるかを考えチャレンジしながら、共に歩んできました。
 現在、全国に約500 名の会員(正会員・賛助会員・購読会員)がおり、定期総会・講演会の開催、会報「バクバク」および冊子(生活便利帳、防災ハンドブック、退院支援ハンドブック等)の発行、情報収集、情報提供、相談、会員相互の交流・情報交換、医療・保健・福祉・教育の充実をめざした関係機関への働きかけ、人工呼吸器をつけた子ども達への社会的理解をはかる活動、支部活動等、さまざまな活動を行っています。

(助成による活動と成果)
 今回、バクバクの会では、子ども達への社会的理解をはかる活動の一環として、啓発DVD「風よ吹け!未来はここに!!」作成しました。人工呼吸器をつけていても、地域の学校に親の付き添いなく通学し、たくさんの支援を受けながら豊かに地域生活を送っている事例を紹介することで、人工呼吸器を使用していてもひとりの子どもとして、お互いに支え合いながら一緒に地域生活が送れるよう、地域支援の充実の必要性を啓発するとともに、支援を躊躇している人々が一歩を踏み出せる一助になることを目的として作成しました。
 また、2016年8月6日、DVD完成披露上映会及び完成記念講演会&シンポジウムを東京の会場で開催しました。会場にはバクバクの会の会員をはじめ一般参加者も含め166名が集まりました。
 DVD完成披露上映会では、作成したDVDに対し、高評価を得られ、今後各地での上映を希望する声や、このDVDを活用し、「地域で生きる」ことを広げていきたいなどの声を頂きました。いくつかご紹介します。
ぼくが生きている意味があるんだね。ぼくも地域の学校に行きたい。ぼくももっといろんなこと勉強したい。(当事者・小学生)
上映、当事者のお話、どれも心に響くお話で、私達も地域の小学校へ行こうと勇気をもらった。問題は沢山あるが、まずは行くことが改革への一歩に繋がると信じている。
上映会に参加して未来を明るく感じることが出来ました。
これから学校に行く子どもたちの支えになると思います。

とてもとてもよかったです。いろんな選択があって、その選択が本人や家族やまわりの人にとって、どんな影響があったのかが、とってもあたたかく描かれていました。受け入れる側の保育園の先生や小学校の校長先生の不安な気持ちも率直に語られていて、それがどんな風に変わったかもわかったので、ぜひこのDVDを使って“地域で生きる”ことを広げていきたいと思いました。

大いに外に出て行って、大勢の人たちに理解してもらう努力をまだまだ必要です。いろんな所でたくさん見てもらいたいです。

このようにたくさんの声をいただき、今後の励みにつながりました。
CD画像 DVDタイトル:
風よ吹け!未来はここに!! 人口呼吸器をつけて地域で生きるともに生きる力を育もう
(詳細はこちら)
http://www.bakubaku.org/bakubaku-dvd-kaze-yo-fuke.html
(ダイジェスト版)*You-Tubeで視聴できます。
https://youtu.be/wfVwMxEyL40

(残された課題、新たな課題)
 この一年はDVD制作と完成披露上映会の開催で終了となりました。今後、全国各地域で上映会を開催していきます。各地域での上映会の企画・運営はこれからであり、また上映会に医療・福祉・教育関係者を始め地域の方など様々な方たちにお越しいただく工夫が必要となります。
 また、各地域における当事者理解や支援充実等を具体的に広げるためには、上映会をきっかけとして、まず各地域において人工呼吸器をつけた子どもたちと親と支援者たちが共に手を取り合い、一歩を踏み出す必要もあります。
 今後、上映会を順次開催する中で、上映会の企画・運営に留まらず、上映会後の各地域における当事者理解や支援充実等の具体的な広がりについての検証も必要になってくると思われます。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 在宅医療や福祉制度が進み、人工呼吸器をつけた子どもたちの支援体制も充実してきたかのようにみえますが、地域によっては、いまだ人工呼吸器をつけていることを理由に、あるいは、小さい子どもは親が看るべきものとの理由で、サービスの利用を断られたり、サービス支給時間が著しく制限されたりするなど、子どもの生活の幅を広げるどころか、家族だけでぎりぎりの状態の介護を続けざるを得ない状況もまだまだあります。
 保育・教育の面でも、一部の地域では、親の付き添いなく通えている事例があるものの、多くの場合、地域の学校も特別支援学校でも、人工呼吸器をつけている場合は、親の付き添いを余儀なくされている現状があります。また、人工呼吸器をつけていることで、地域の学校への就学そのものを拒否されることも少なくない現状です。
 医療的ケアを提供してもらえず、親が、居宅介護においても子どもの側から片時も離れられず、学校や保育所にも常に付き添いをしなければならないということは、24時間介護となり、親は疲弊し、その結果、子どもの生活の幅が狭められ、自立や社会参加を阻害されるのはもちろん、家族の生活も健康も奪われ、夜間の異変に気づかないなど、子どもの安全をも脅かされることになります。やがて、親は子どもの将来の地域生活に展望が見いだせなくなり、子どもの思いに関わらず、最終的には施設入所を選択せざるを得ないという状況に陥ることになります。
 このような悪循環の現状をもって、「家族介護が大変」「そこまでして生きていて本人は幸せなのか」という当事者不在の論理の下、気管切開や人工呼吸器装着の見送りが語られ、呼吸器外しを可能にしようという動きがみられ、子どもたちの生きる権利が軽視されるような風潮が加速する懸念さえあります。
 バクバクの会では、会の結成時から、人工呼吸器をつけている子どもたちが「ひとりの子ども、ひとりの人間」として、地域の中で当たり前に自立していけるよう活動してきました。今回のDVD作成および上映会もその一環であり、どの地域に住んでもいても、人工呼吸器をつけていても、子どもたちが地域の中で必要かつ適切な支援を受けながら、一人の人間として成長し自立していけるような社会の構築に繋げていきたいと思っています。



 
助成番号  14-1-3

長期療養の子どもたちも地域で一緒に育ちあう、共生保育を担うスタッフ育成のためのキャリアパス・プログラムの開発


団体名 特定非営利活動法人こどもコミュニティケア
http://blog.canpan.info/kodomo/

助成額 185万円

(団体について)
 私たち特定非営利活動法人こどもコミュニティケアは、2004年から任意団体で認可外保育施設の運営を始めました。「長時間の保育を必要とする子どもたちに、より家庭的な保育を」「障害や生まれつきの病気を持つ子どもたちも、みんな一緒に育ち合おう」を2本の柱に、インクルーシブ(共生)保育に取り組んでいます。
 看護師と保育士がともに「ケアスタッフ」としてチームを組み、ひとりひとりに必要なケアを充分に届けること、地域の医療福祉教育機関と連携し、家族も含めたケアをめざしています。
 2012年には待機児童対策の家庭的保育事業、2015年には子ども・子育て支援新制度の小規模保育事業に一部を転換、拡大し、障害児通所支援事業(児童デイサービス)も開始しましたが、医療的ケアや医学的な観察と介入が必要な子どもたちへの経済的な支援制度がなく、道半ばです。地域の方々やいくつもの企業・助成団体に支えられ、今日も新たなトライを進めています。

(助成による活動と成果)
 質の高い、これまでにないチームケアにあたっては、人材をどのように育てるかが大きな課題です。医療的ケアや配慮が必要な子どもたちは、近年になって急増しているため、地域ケアや医療的ケアについては、看護も保育も養成校での教育がまだ追いついていません。 
 今回の助成により「長期療養、医療的ケアに対応できるケア・スタッフの育成プログラム開発」として、現任教育システムとして当法人が独自に取り組んできたキャリアパスやステップアップシート、法人内研修をより体系化し、充実させる取り組みを行いました。
 パートで専任スタッフ(理事兼任)を置いたことで、継続的な取り組みが可能になり、約1年の実施状況をまとめて保育学会発表を行い、他の小規模保育事業とのつながりを作ることができました。
 当初の計画では、大学など保育士養成校教員とのプロジェクトチームを組みたいと考えていましたが、多くの方より「小規模保育事業という新しい保育制度も、医療的ケアそのものがよく分からない」などのコメントをいただき、チーム結成には至れませんでした。
 しかし、同じ小規模保育事業に取り組む関東のNPO法人のスタッフとの交流を始めることができ、新たな広がりが始まっていると実感しています。
 助成をいただいた1年間は、事業拡大の最初の年で、チーム編成の大改革など、本プロジェクトに多くの人材を割くことができませんでした。そのため達成できたことは多くはありませんが、確実な一歩であったと確信しています。
 
(残された課題)
 新入職員から使える「ステップアップシート」」は、他の保育園でもたいへん好評で、ぜひ同様のものを作りたい、書籍にして欲しいという声をいただきました。今後は、中堅スタッフを中心にプロジェクトチームを作り、さらにブラッシュアップを図っています。特に、リーダー層に求める記述が少なく、リーダーのコンピテンシーを明らかにしていく作業が必要と考えています。リーダー層にしっかりした自己評価シートを作っているNPO法人の例を参考に、インクルーシブ保育にふさわしい内容にアレンジしていく予定です。
 また、研修内容も概要や1−2回目のトライはあるものの、受講したスタッフのフィードバックを活かしたものにはまだなっていません。1日11時間以上週6日以上の運営を行う保育施設で、忙しい中でも徐々に進められる園内研修となるように、30分一コマの研修計画に作り直すなどの取り組みを進めています。

(活動の背景・社会的課題)
 医療的ケアとは、慢性疾患・生まれつきの病気・障害などのために、痰の吸引や管を通して栄養を取るなど、本来であれば医行為(医師や看護師などが行う行為)とされているもののうち、「日常生活を営むのに必要な呼吸、栄養摂取、排泄等の介助を、非医療職である家族や介護者、教員などが行うケア」を言います。治療目的でなく日常生活に必要な医行為は数多くありますが、トレーニングを受けた非医療職の方が行えるケアは限られています。訪問看護ステーションも、子ども(小児)を対象としないところも数多く、子どもの医療的ケアは、家族(多くは母親)によって担われています。
 医療的ケアが必要な子どもたちは、従来の「重症心身障害児」ではなく、知的能力や運動能力では、健康な子どもたちと同じように発達している場合も少なくありません。そのため「重症心身障害児さんよりは家族の負担は軽い」と見られたり、医行為と同様であるために「私たち福祉の専門外だから」と普通学校、障害児デイサービス、幼稚園、保育園、学童保育から断られることが数多くあります。利用時間の間中、保護者が付き添うように求められることも珍しくありません。
 また、医療的ケアは「器具や機械を使って実施している行為」だけがクローズアップされ、そのケア行為の前後にあたる観察と判断、記録と申し送り(連携)については、時間的にも技術・知識的にも、社会的・経済的評価を充分に受けられていないといえるでしょう。
 病気も しょうがいも その人のごく一部に過ぎません。住んでいるまちの中で「□□病の子」じゃなく「5歳の○○ちゃん」と呼ばれてみんなといっしょに大きくなりたい、というのは、当たり前の願いです。私たちはこれからも、「みんなが あたりまえに たすけあっていきいきと暮らせる、よりすこやかに成長できる社会」を目指して、小さな一歩を重ねていきたいと思います。




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