助成番号  17-2-1

ニコゼミ2018 最小で最大のコミュニケーションに出逢う!!!


団体名 認定特定非営利活動法人 ニコちゃんの会
http://www.nicochan.jp/

所在地 福岡県
助成額 180万円

(団体について)
 当団体は、「どんなに重い病気や障がいがあっても、その人らしい心豊かな人生を生き抜く」ことができる社会を目指して活動しています。 芸術・研究・啓発・介護(日々の生活のサポート)など多岐にわたる活動を、障がい児の親をはじめとし、医療・デザイン・舞台・教育など幅広い分野のスタッフで企画・運営しています。

(助成による活動と成果)
 本プロジェクトは、重い病気や障がいのある子どもと社会をつなぎ、医療福祉に関わる新たな人材を発掘・育成する取り組みです。重い病気や障がいのある子どもと関わる機会の少ない人を対象に、出逢い、学び、考え、再会し、そして学んだことを他者に伝える報告会という5つの学び時間から成り立つコミュニケーション講座「ニコゼミ2018 最小で最大のコミュニケーションに出逢う!!!」を開催してきました。テーマをアウトドアとし、どんな子どもとも関わることができる人材を育成するため、アウトドアでの遊びを通して学んでいきました。
 その中で、受講生は、重い病気や障がいのある子どもに出逢い、まず無意識に抱いていたネガティブな自らの想いに向き合い、知らなかったことをたくさん学び、しっかり関わることで、子どもたちに対しての意識や関わりの姿勢に大きな変化を遂げていきました。その変化が読み取れる受講生の講座後の感想をご紹介します。

「自分とは違うと思ってたけど、彼らにとっての普通があって、私となんら境がないんだと思った。」
「舌で意思を伝える子に会い、私にもその意思表示がやっとわかった。」
「“何もできない”男の子に、すべて教えてもらった。」

 このように、受講生にとって、子どもたちとの出逢いが、自らの考えや行動を大きく変えるものとなっていきました。今回の受講生は看護や保育の大学生などが多く、これからの医療福祉や社会を担う人材から、今後子どもたちと意欲的に関わりたいという意見が多くでており、当法人のみならずこれからの社会にとって大切な成果を得ることができたと考えています。

(残された課題、新たな課題)
 2年間ニコゼミを開催することで、連続で受講してくれる人やボランティアとして関わりをもってくれている人もいます。しかしながら、ニコゼミやイベントを通しての繋がりがほとんどで、もっと日常的な関わりや細く長く繋がるための工夫が今後の課題だと捉えています。法人として、新たな施設ができたこともあり、多様な関わりの方法を探る必要性を感じています。
 重い病気や障がいのある子どもの受け皿づくりを進めるうえで、一般向けのイベント開催で広く知ってもらうこと・ニコゼミなどで深く関わってもらうこと・継続して関係を築いていくことの、全てが同時に必要なことだと考えています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 重い病気や障がいのある子どもの現状というのは、家族・特別支援学校の教師・医療・福祉関係者が多くを占めます。医療的ケアが必要になればなるほど、外出は困難になり、学校も通学ではなく教師が自宅に来る訪問学級になります。なかなか同年代の子どもとあそぶ機会は少なく、大人との接し方にしても、医療・福祉関係者とは生命や生活に必要なケアが中心で、深いコミュニケーションの時間はなかなか設けられません。
 子どもは親や教師、まわりの大人によって様々な教育を受けたり常識を教わったりしますが、それと同時に他者と対等に接する中で、知恵や創造性、空気を読む力、他者を大切に思う心など、多くのことを学び成長していきます。そのような年齢に応じた人間関係を築きながら成長していくことが彼らには難しい状況にあります。
 それから、彼らは身体的表現はもとより発語や表情にいたるまで非常に限られた動きでしか発信することができないため、発信がないものと捉えられていたり、感情や人としての尊厳を軽んじられることも、珍しいことではありません。彼らを取り巻く医療・福祉の現場でさえ善悪問わずそのようなことは日常的に起こっています。さらに普段から彼らと接することのない人が出会うとすればなおさらそうなることは必至です。
 しかしながら、彼らは手術や医療的ケアによる身体的なストレスや、コミュニケーションの取りづらさ・制限のある生活による精神的な負荷を日常的に経験していることもあり、年齢以上の精神力を持っていることは少なくありません。さらに、指のかすかな動きや眼球の動きなど、最小の動きで最大限に人にメッセージを伝えることができます。受け手がそれに気づきしっかりと受け止めるスキルやきっかけさえあれば、彼らは人にメッセージの内容以上の大きな感動や喜びを与えてくれます。それは人と通じ合うことができるという人間本来の持つ欲求が付加価値となって、人に大きな気づきをもたらしてくれるのです。そのような彼らの最小で最大限の発信に気付き、また引き出し関わることのできる人材が、今後もっともっと必要になってきます。
 医療の発展した現代、重い病気や障がいのある子どもが他者と対等に接し学びを得る機会と、彼らの発信に気づき関わることのできる人材の育成のふたつが、彼ら自身の人間的成長と多様性を認める社会全体の成熟にとって重要な課題であると言えます。

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助成番号  17-2-2

学習支援ボランティアリーダー養成および地域連携支援プロジェクト


団体名 認定特定非営利活動法人 ポケットサポート
https://www.pokesapo.com/

所在地 岡山県
助成額 137万円

(団体について)
 当団体のビジョンは「病気を抱える子どもが将来に希望を持ち、自分らしく暮らせる社会」をつくることです。長期の入院や療養によって、学習や体験の機会を失ってしまう子どもたちがおり、彼らのそういった空白を「ポケット」と呼んでいます。また、医療や教育の狭間にあり、福祉の制度にもかかることができない場合もあります。ポケットサポートの名前の由来は、そのような「ポケット」のある子どもたちを支援「サポート」したいという思いから名付けられました。
 病気による困難を抱えた子どもたちへの支援を通して、彼らが将来への希望を持って生活できるような活動を目的として、以下の3つのミッションを掲げています。

1.【  環境を作る  】 病気を抱えていても子どもらしい時間が過ごせるように学習支援・復学支援・自立支援ができる環境をつくる。
2.【 生きる力を育む 】 病気による困難を抱えていても前向きに生きていけるよう、当事者や専門家と共に子どもや家族の「生きる力」を育む。
3.【人や気持ちをつなぐ】 病気の子どもに関わる人たちをつなぐコーディネートを行うと共に、社会への理解啓発により支援者を増やしていく。

 活動内容は、長期にわたる入院や治療、療養が必要な子どもたちへの学習や復学・自立の支援、不足しがちな社会体験を補うイベント活動や孤立感解消のためのコミュニティ作り、それらに関する事業を行っています。研修会や講演会などの主催も行い、年4回のニュースレターをはじめ、活動内容や思いを伝える冊子や社会課題を伝えるパンフレット類の作成、行政や教育機関など様々な関係機関と連携しながら活動しています。支援者の中には、医療者、教育者、当事者も数多くおります。代表の三好をはじめ、小児期に闘病経験のあるスタッフによるピアサポートなど、病気を抱える子どもたちの気持ちに寄り添う支援が行われていることも特徴です。

(助成による活動と成果)
 後に挙げている課題の通り、流動性や非経済性を伴う活動であるため、当団体の行う支援活動には専門職はもちろんですが、ボランティアの力が必要不可欠となります。
 今回の助成により、ボランティアの育成プログラムを作成することができました。また、近隣の大学で教育や医療、福祉などを学ぶ学生たちを中心としたボランティアのチームを作ることができました。活動の中では退院した療養児や家族の支援の先に、小児病棟内での支援活動があり、そこには高いレベルが求められます。リーダーを育成することによって、病棟内での支援はもちろん、他のボランティアたちとの連携や関係性の構築もできてきました。ボランティア活動を通して、卒業した後、教育の現場や医療の現場に巣立っていく者も出てきました。病気を抱える子どもたちに理解のある人たちが増えていき、支援者となってつながっていくことを目標としていた私たちには大きな成果といえます。学校の教員となり院内学級へ配属されるもの、小児科で働きたいと夢をもち巣立ったもの、支援学校の教員となり、ポケットサポートと連携するといった具体的なつながりの中で、この地域での病気療養児への支援が充足されていく実感を得ることができました。

(残された課題、新たな課題)
 病気療養児の支援の中に2つの課題があります。ひとつは流動性です。病気を抱える子どもたちは病状により活動に制限が生まれることや、その日そのときの体調によっては予定していた活動に参加できないことなどがあります。逆に予定していないときにも「今なら活動ができる」といった場面に出会うこともあります。また、関わる期間が一定でなく、一過性の関わりになることや、逆に継続した関わりが必要なケースもあります。支援者を配置していたとしても、支援対象がいなかったり、支援が行えないということ、逆にニーズがその日突然多くなったとしても、支援者が配置できていないことなどがあります。一方、支援にはある程度の専門性を伴い、多くの支援者で数の少ない子どもを支援するといった非経済性の課題もあります。病気療養児は個々に抱える問題から、支援については個別性も高くなります。コストをかけ、人や物やサービスを準備していても、先に挙げたターゲットの流動性の問題に加え、専門性の伴うスタッフの育成や、臨機応変にタイミングよく支援を提供することが求められます。また、これらを包括する大きな課題として、サービスの利用者である子どもたちやご家族は経済的な負担も大きいことから、受益者負担が難しく、資金を他から集めて活動を継続していくといった課題もあり、これらをどう解決していくかが次のステージだと考えています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 病気を抱える子どもたちの置かれている環境は近年の医療の進歩により、長期生存が望める時代になってきました。そのため、子どもたちにとっては身体的な課題だけでなく、心理社会的な支援、とくに学齢期の子どもたちにとっては教育支援のあり方が問われています。
 病院内に設置されるいわゆる「院内学級」は入院できる施設の約3割しか設置しておらず、また通うためには学籍の移動(転校)が必要となります。現代の医療施策により入院が短い場合や、入退院を頻繁に繰り返す場合などは「院内学級」を利用することができない現状があり、病院内に教育機関がありながら教育を受けることができない場合もあります。さらに長期にわたり在宅療養をしていたり、治療のための合間の一時的な退院などの場合においては地元の学校へ通うことができないといった状況もあります。また、高校生には「院内学級」を設置することが難しく、彼らへの教育支援の必要性が求められています。
 子どもにとって、成長発達が著しい学齢期においての教育や様々な体験は重要で、それが病気のために妨げになってはなりません。文部科学省は、病気療養児のICTを利用した遠隔授業を出席単位として認める通知も出しましたが、未だそのシステムも整ってはいません。慢性疾患の子どもの多くは「手帳」を持っていないことから、福祉サービスを受けられないといった問題もあります。
 子どもたちに関わる、家族、所属する学校の関係者、受診している医療施設の状況や主治医の他のコメディカルなどと連携をしながら、その時々に必要な支援を届けていく必要があると考えます。コーディネートできる人材の育成、また子どもたちが病気である自分から少し意識を離し一人の「子ども」としての時間を過ごせる時間や体験を与えていくことが大切です。民間団体である私たちがどのような立場で、公教育や医療の現場と関わっていくかといった課題も含め、様々な課題が山積していますが、仲間たちと一緒にこれからも、病気による子どもたちの未来のために尽力していく所存です。

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助成番号  17-2-3

病気の子どものきょうだい支援を広げるためのシブリングサポーター養成事業(2)


団体名 特定非営利活動法人 しぶたね
http://sibtane.com

所在地 大阪府
助成額 224万円

(団体について)
 当団体は、病気をもつ子どもの「きょうだい」のための団体です。きょうだいが主役になりあそびきるワークショップ「きょうだいさんの日」や、病院内の活動、小冊子の作成配布、講演や、4月10日の「きょうだいの日」にあわせた啓発活動などを行っています。
 きょうだいたちは、病気についてわからない不安や混乱、周囲の大人の目が自分に向かない寂しさ、プレッシャー、自責感、悲しみ、怒り…いろんな気持ちを抱え、感じながら、大きくなっていきます。子ども時代に抱えた経験、複雑な気持ちは、たとえ兄弟姉妹の病気が治っても、きょうだいが大人になっても、帳消しになるわけではなく、大人になってもしんどい気持ちを抱え続けるきょうだいもたくさんいます。
 保護者の方々もきょうだいのことを心配しながら、治療やケアに追われてなかなか思うようにきょうだいと過ごせずに悩んでおられたり、ご自身を責めてしまうということが起こっています。そんな保護者の方々の悩みを受け止めておられる支援職の方々からもまた、きょうだいたちに何をしてあげられるだろうと悩んでおられる声を聴いています。きょうだいたちのしんどさを、きょうだいや家族だけで抱えるのではなく、もっと社会のたくさんの人で関わっていけることがあるのではと感じ、活動をひろげてきました。

(助成による活動と成果)
 昨年度に続き、きょうだいの応援団を増やしつながるための「シブリングサポーター研修ワークショップ」を開催地を広げて4回行い(大阪府、群馬県、和歌山県、福井県)、この1年で162名のシブリングサポーターが誕生しました。
 今年で2回目となったサポーターミーティングでは、きょうだい支援を広める会の有馬靖子さんを講師に招き「やすこさんに聞いてみよう!―どうしてきょうだい支援をはじめたの?どうやってきょうだい支援を成長させてきたの?世界各国のきょうだい支援はどんななの?」をテーマに、世界のきょうだい支援の流れと現状を学び、その後のグループトークでは、日々の実践や職場で出会うきょうだいのことや、これからきょうだいプログラムを始めるにあたって悩んでいること等をそれぞれのグループでアドバイスし合ったり、励まし合ったりする時間を過ごしました。
 この年に1度のサポーターミーティングで全国的なネットワークをつくっていくことを目指していますが、研修ワークショップを行うこと自体が、それぞれの地域での関係者のネットワーク作りにつながっていることにも気づき、相乗効果できょうだい支援の輪が予想よりも早く広がっている実感があります。
 また、初の試みとして、さまざまな分野できょうだい支援を進めておられるリーダー的存在の方に集まっていただき、現在の日本のきょうだい支援の到達点と今後進むべき方向性を確認することを目的に「きょうだい支援リーダー会議」を2回開きました。第1回はそれぞれの実践についてご発表いただいて共有し、第2回では残りの団体の実践発表を終えた後、参加団体の活動を「分野別」「きょうだいの年代別」にホワイトボードにまとめ、課題を整理しました。
 この内容を、きょうだい支援の世界的な先駆者であるドナルド・マイヤー氏を招聘して開催した講演会の中で発表し、マイヤー氏から「20年足らずの短い期間でこれだけのことを成し遂げた国は他にない。」「日本でもアメリカでもほかの国でも道のりが長いのはどこも同じだけれど、重要なステップを踏んでいる。」とコメントいただきました。
 会議を開催したことできょうだい支援の全体像が見えるようになり、自団体の位置、目指すべきことも見えやすくなりました。今後も必要に応じて、たとえばワーキンググループのような形で連携することで、きょうだいを取り巻く課題の解決につなげたり、さまざまな分野で同時に社会に発信することで、ひとつひとつの実践や研究では難しかったきょうだい支援の大きなうねりを起こしていきたいと考えています。

(残された課題、新たな課題)
 シブリングサポーター研修ワークショップは、開催希望の連絡は絶えずあるので、引き続き開催地域を広げ、新たなプログラム立ち上げの協力なども行っていくための資金確保の工夫と、広報ツールの作成が課題として残っています。また、研修ワークショップやリーダー会議は、きょうだい支援に携わっている方々の情報整理や士気を高めることにつながったので、次は「きょうだい支援って何だろう」と感じてくださっている市民の方々向けにきょうだいのおかれている状況や実践、課題などについて知っていただく方法を考えなければならないと感じています。また、きょうだい支援をすすめていくために必要な連携先として、教育関係者や研究者、行政、企業とのつながりが薄いので、ネットワークを広げることが必要と感じています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 活動を始めて16年目になりました。「健康なきょうだいにサポートが必要なの?」と聞かれていた頃に比べ、きょうだいに光が当たることが増え、状況が変わってきているのを肌で感じています。きょうだい支援の考え方や取り組みが広がることで小児慢性特定疾病児童の自立支援事業や、厚労省の医療的ケア児と家族を支援する予算にも「きょうだい支援」が加わるようになりました。この、かつてないきょうだい支援の波を途切れさせず、たくさんの仲間とともに大きくしていきたいです。

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助成番号  17-2-4

小児がん患者の自立支援プログラム開発と普及(2)


団体名 ソーシャルデビュープログラム研究会
所在地 東京都
助成額 138万円

(団体について)
 何らかの慢性疾患を抱え成人していくこどもの数は、医療の進歩に伴い年々増加傾向にあります。一方その支援は、疾患や障害により違いが見られ、不足分を家族が担う現状は変わっていません。
 慢性疾患をもつこどもたちの病体験から得た生きる力に注目し、自らを助ける支援方法の必要性から、2015年本団体を立ち上げました。
 団体の目的は、病気をきっかけに生きづらさを抱える慢性疾患のこどもたちが、自らの意志で自分らしく生きていくためのツールとして、プログラムの開発と普及を目指しており、現在は慢性疾患の中でも最も生命に関わる疾患である小児がん患者を対象として活動を進めています。

(助成による活動と成果)
〇助成による活動
(1)ソーシャルデビュープログラム(以下SDP)研究会主催プログラムの実施
SDP研究会運営スタッフ、ピアナビゲーターと共にブログラムを2か所で実施しました。

【新潟小児がん経験者の会オークの木】
 病体験の振り返り及び整理、仲間づくりを目的に、小児がん啓発のシンボルであるゴールドリボンを模したビーズ作成、前回の助成で作成した晩期合併症DVDの鑑賞を行いました。

【京都大学病院(小児がん拠点病院)】
 小児がん患者・家族の医療・支援の拠点である京都大学病院小児がん相談支援センターと協同でプログラムを行いました。当日は同大学で活動している親の会や学生ボランティアの協力も得てかなり大規模な会となりました。新潟と同様の目的に沿い、ビーズゴールドリボンの作成、晩期合併症DVDの鑑賞、周囲への病気説明など4つのプログラムを実施しました。

(2)プログラム普及定着活動
 プログラム実施の前段階として、小児がん患者がプログラムに関心を持ち参加してもらえ
るよう、関係性を作るために普及定着活動(ビーズゴールドリボン作成)を小児がん拠点病院の 中央機関である国立成育医療研究センターにて実施しました。

〇活動の成果
 主催プログラムについては、養成研修を受けた小児がん経験者(ピアナビゲーター)が進行を担い、より身近な存在として小児がん経験者同士の交流することができました。また、実施後には「参加してよかった」「また参加したい」「もっと晩期合併症のことを知りたい」など前向きな感想が寄せられています。
 前回の助成で作成したDVDは非常に好評で、「妹にみてもらう」「もう一度家に帰って勉強する」「友達にみせる」など様々な活用を考えてくれていました。
 さらにピアナビゲーターたちが、プログラム活動に触発され、全国の小児がん経験者のネットワークを目指した任意団体を立ち上げました。

(残された課題、新たな課題)
 今回、諸事情により当初の計画をすべて実行することができませんでした。また、プログラム実施にあたっては、協同で実施する際の組織の理解や参加者確保への工夫、そしてプログラム自体の周知が重要であり、その方策などが残された課題です。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
  小児がん患者は生存率が向上し、その後の人生が長く続きます。治療が終わった後、患者自身が病気を自分のこととして引き受け生きていくためには、そのことを意識して関わる人と環境が必要であり重要です。
 治療後の小児がん患者には、進学、就職、そして結婚、出産、子育てと未来が開かれています。病気の経験は過酷で大変ではあるけれど、そこから得た力があります。その力を引き出すお手伝いがこれからもできたらよいと考えています。

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助成番号  17-2-5

医療的ケアの必要な子どもとその家族の疲弊防止プロジェクト(2)


団体名 親子はねやすめ
https://www.haneyasume.org/

所在地 東京都
助成額 150万円

(団体について)
  重い病気や障がいのあるお子さんとそのご家族を支援する活動をしています。私たちは、ご家族への理解者を増やすとともに、ご家族が社会のつながりを感じて頂き、ご家族の疲弊を防ぎ、「生きる力」を得て頂くために以下の活動を続けてきました。

【親子レスパイト旅行】
 複数の家族を医療ボランティアと連携して旅行へご案内します。介護は医療ボランティアが、きょうだい児は地元ボランティアをはじめとする学生たちが一緒に遊び、親御さんにはのんびり羽を休めて頂くと同時に、複数の家族をお連れすることで家族間の会話が生まれる場を提供しています。たくさんのかかわりをご家族に感じて頂き、たくさんの笑顔が生まれています。明日への力、生きる勇気を「人」と「人」との中で生み出します。

【きょうだい児キャンプ】
 日頃、親御さんに甘えられず寂しい思いをしているきょうだい児を遊びに連れていきます。遊びからくる経験も少ないきょうだい児たち。農業体験、海水浴、スキー等々みんなで沢山遊びます。「将来は、お医者さんになるんだ!」そんなきょうだい児の声も聞こえています。

【演奏会の提供】
 主にクラリネットの演奏会を施設や病院にお届けしています。踊りだす子や歌いだす子もいて、大賑わいの演奏会です。演奏はプロのクラリネット奏者・田中正敏を中心とするメンバーで演奏場所に応じて2名〜5名位の編成で演奏します。曲目はクラシックから子どもたちが喜ぶアニメ、また、昔懐かし『男はつらいよ〜寅さん』のテーマソングまで幅広く、世代を超えて楽しんで頂いております。

【親子はねやすめと同様な活動をして下さる団体の創出】
 一団体でも多く、地域に根差した団体を生み出していきたいと願って取り組んでいます。 (実績:長野県 任意団体「ほっとくらぶ」)

【ご家族を理解し受け入れて下さる宿泊場所、地域・団体の募集・創出】
 重い病気や障がいのあるお子さんとご家族が揃って出かけることのできる社会になって欲しい。親子レスパイト旅行を通じて、ご家族と受け入れ側、双方の「気づき」が全国いたるところで生まれるように努力しております。今回の継続助成において最も力を入れた取り組みです。

(助成による活動と成果)
 前回助成に引き続き宮城県での活動を継続することで、弊団体の取り組みが地元に根付くことを目指して基盤づくりに注力しました。疲弊しやすい環境下にある対象家族と社会との壁は双方にあると考え、イベントで共に過ごす時間を通じて互いにに「気づき」を生みだしていくことに取り組みました。2018年秋に「芋煮会」、2019年夏に「バーベキュー(以下、BBQ)」、2019年秋に「茶話会」を実施。回を重ねるごとに、地元ボランティアメンバーがプロボノとして当団体事務局の運営サポートにも大いに参加し、より地元に根差した形(食材、出演者)の企画となりました。その際、地元プロボノメンバーが作成した運営資料の雛形と普及啓発活動用の動画は、今後の活動でも活用できる財産となっています。
 また、上記イベントの他、活動を広げるため新たな協力地域や団体(家族会、福祉、医療関係)との接点を見いだす為の視察・訪問を重ね、宮城県在住の対象家族をはじめ、受け入れ地域となり得る宮城県、山形県の地元の方々や福祉関係者と面会することができました。
 その他、情報発信として前回助成の際に反響の大きかったWEB媒体“せんだいタウン情報machico”で発信すると共に、河北新報社でも取り上げて頂きました。

(残された課題、新たな課題)
 活動継続のためには、新たな企業を含む寄付支援者が必要であることが最大の課題と考えています。また、医療・福祉関係者との協力関係を一つ一つ築くと共に、ご参加いただく上で必要な体制(有償での依頼や保険等の検討)を整えていくことの必要性を感じています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 日本は、世界的に見ても子どもの命を救える国となっています。しかし一方で、人工呼吸器などの医療機器なしでは生きていけないお子さんもいらっしゃいます。その数は年々増えており、全国で約1万8千人とも言われています。今後、救われる命は増加していく見込みですが、そのお子さんやご
家族をサポートする仕組みや制度が追い付いていないのが現状です。
 命が救われたお子さんの多くは、ご自宅で親御さんの介護を受けながら成長していきます。しかし、ご家族の負担は私たちの想像を超えているケースが多く、特に母親の精神的、肉体的疲労ははかり知れません。痰の吸引等々の医療的ケアの必要なお子さん、特に新生児においては、ほぼ24時間体制で介護していらっしゃいます。また、「死んでしまうかもしれない」と強い緊張感の続く環境下で介護をしています。お子さんを連れて外出など考えることができない、他人の目が気になる、元気に産んであげられなかったことで自身を責める・・・。ほっと一息、ゆっくりと休む時間が必要です。
 また、ご家族の疲弊を防ぐためには関わりを持てる人が一人でも多くご家族のまわりに必要です。ご家族に社会の中の一員であることを気づいてもらいたい。そのためには、医療や福祉、行政に任せきる体質の社会風土ではなく、「人」と「人」が支え合う風土作りが必要です。ささやかな活動ですが、その実践を繰り返し行っていくこと、多くのご家族と少しの時間でもかかわることの重要性を感じ活動しています。生業を超えて、「人」と「人」が寄り添う。ゆっくりと休む時間、安心した時の流れそして楽しく過ごす時間を人が作り、ともに共有すること。決して特殊な活動ではありません。一緒にご家族と楽しい時間をともにしてみませんか。そこに身を置くことで、ご家族にも、ボランティアに参加された方にも様々な気づきが生まれています。

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助成番号  17-1-1

長期療養児向けのスポーツ・レクレーションプログラムの展開と人財育成


団体名 特定非営利活動法人 Being ALIVE Japan
http://www.beingalivejapan.org/

所在地 東京都
助成額 180万円

(団体について)
 当団体は、スポーツを通じて長期療養中の子どもの自立支援をはじめ、こどもたちの長い療養生活を支え、応援する人達を社会に創出するTEAMMATES事業を病院の中、地域社会の中で展開しています。

(助成による活動と成果)
 今回の助成では、長期療養児とそのごきょうだい、友人がともに楽しめるスポーツ・レクレーションプログラムの展開、またそれに必要な人財育成研修プログラムの初級講座の開発と実施をしました。
 患者団体や大学と共催し、スポーツプログラムを2回開催、合計23名のこどもとそのきょうだい、友人に活動提供をしました。小児がんのお子さんをはじめ、補装具を日常的に必要とするお子さん、在宅酸素を使っているお子さん等、様々な身体条件のお子さんが参加しました。また約半数ほど、スポーツ活動に参加した経験がないお子さんも参加しており、参加したお子さんから「いつもできないことを、我慢もせずにいっぱいやれて楽しいです。」という感想を頂きました。またご家族からも、「スポーツと聞いた時、うちの子は参加できないかもと思いました。でも、様々なお子さんの身体条件に合わせた参加方法やルールが用意されており、初めての経験に取り組む息子の真剣な顔や周りとハイタッチをし、生き生きした姿が見ることができて、とても嬉しかったです。」という声も頂きました。
 また長期療養中のこども向けのスポーツ・レクレーションプログラムを企画・運営する人財育成を目的に、初級講座の開発と研修の実施をしました。研修は、長期療養生活がこどもの日常生活や成長発達に与える影響や、またスポーツ・レクレーション活動を通じた支援に関する内容となります。米国認定の専門資格「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」や「セラピューティック・レクレーションスペシャリスト」が講師を行い、また協力アスリートより「アスリートができる小児医療の貢献」に関して話していただきました。


(残された課題、新たな課題)
 当団体は入院中のこども向けのスポーツ活動を提供しており、主な参加者は当団体の活動に一度病院内で参加経験のあるこどもたちです。今回、資料を病弱特別支援学校や患者会に郵送しただけでは、参加者の募集に至りませんでした。まだ「病気のあるこどもでもスポーツ活動に参加できる」認識が低いため、今後はホームページ、SNS、郵送を通じた募集だけではなく、作成した広報誌で特別支援学校や患者会に問い合わせをし、直接ご家族等に活動紹介する、Face to face で募集をすることも重要だと考えています。
 また当活動では、学校の友人も参加可能な活動ではありますが、友人への声かけを控えるこどもが多かったように思えます。その理由として、身体活動の程度が低いスポーツ活動のイメージが強く、友人への声かけを控えているご家族もいることがヒアリングより明らかになりました。回復したこどもたちの参加は、現時点で治療や療養を頑張っているこどもたちのモチベーションにも繋がるため、様々な身体レベルでも楽しめるスポーツプログラムの企画と発信、またピアサポート効果に繋がる活動づくりをしていきたいと考えています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 小児がんをはじめ、長期的に治療・療養を必要とするこどもが全国に約25万人います。医学が進歩し助かる命が増えた一方、学校や地域で日常生活を送りながら、継続的に通院治療や長期療養を必要とするこどもたちと支えるご家族が増えています。長期療養生活は、こどもの体力の低下、ストレス増加、自信の低下、友人との関係構築の難しさ等、こどもの身体面のみならず、精神面や社会面の発達にも影響を与えます。長期療養を必要としながらも、成長発達していくこどもが増える現状に対し、療養中の身体面、精神面、社会面の自立を支援することは重要です。また長期療養児とそのご家族を支えるコミュニティづくりも、今後重要となっていきます。
 スポーツには人と人を結びつける力があり、応援し応援される関係を構築することができます。またこどもたちは身体面、精神面、社会面の成長を促すこともできます。日本ではまだ長期療養児等、身体制限のあるこどもが参加できるスポーツ・レクレーション活動が少ない現状があります。長期療養児向けのスポーツ・レクレーション活動の展開、そして人財育成することで長期療養児の自立支援をはじめ、長期療養児とその家族を支える人の存在、そしてコミュニティをつくっていくことに繋がります。
 今後も、継続的に長期療養中のこども向けのスポーツ・レクレーション活動の企画・開催実績を積み重ねることで、長期療養児とそのご家族を支える人の存在を社会に創出する事業モデルを構築し、そして全国展開を目指していきたいと考えています。

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助成番号  17-1-2

在宅療養中の医療的ケア児およびその家族の交流事業と情報発信活動


団体名 かけはしねっと
http://kakehashinet.jp/

所在地 茨城県
助成額 66万円

(団体について)
 私たちは、医療的ケアを必要とする子どもを育てる親の会です。医療的ケアとは、病院以外の場所で家族などが行う、生きていく上で必要な医療的援助のことで、たんの吸引や経管栄養、導尿、人工呼吸器の管理等があります。主に茨城県における医療的ケア児の健やかな成長のため、会員相互が研鑽・協力し、療養生活一般に関する情報の交換・連絡を図ることを目的として2016年に設立しました。
 楽しいイベントの開催や、個々では難しい自治体への要望などを通じて、医療的ケアのある子どもとその家族の暮らしを充実させていきたい。そんな思いをもつ親たちが集まって活動しています。

(助成による活動と成果)
家族同士のつながりづくりのための交流会と、会の存在や医療的ケア児のことを広く知ってもらうための情報発信、講演会・フォーラムの企画を行いました。
 交流会は、計6回開催し、延べ41組77名の方に参加いただきました。家族同士が気軽におしゃべりができるよう、お茶やお菓子を用意したり、親子で楽しめるような話題・テーマを設定しました。他愛もないおしゃべりから、困りごとの解決につながるヒントが得られたり、「自分だけじゃない」と思えることで、少しでも心が軽くなればと思っています。

活動に参加くださったご家族からの感想をご紹介します。

「かけはしねっとの活動を通じて、同じように障害のある子どもを育てるママたちと出会い、お付き合いできていることに感謝しています。Aちゃん(自分の子ども)がかわいそうと思うことも多々あるけれど、決して不幸ではなく、むしろこの世界では感謝することもたくさんあります。これからもどうぞよろしくね!」

「重症心身障害の子どもを育てる母ですが、かけはしねっとの活動に参加して、思い切ってみること、ブレーキをかけすぎないでやってみようと思いました。キチキチ決めすぎずに、もう少しゆるく楽に楽しくやってみようと思い、楽になりました。」

 講演会・フォーラムでは、茨城県内の医師や看護師、訪問リハビリのセラピスト、福祉サービスの関係者など支援者や専門職に多数参加いただきました(講演会:68組102名、フォーラム:85組124名)。医療的ケア児の暮らしを充実させるためには、支援者・専門職の理解、協力が不可欠と考えています。講演会やフォーラムを通じ、医療的ケア児を取りまく地域の方々と課題を共有することができたことは、課題解決につながる大切な成果だったと考えています。

(残された課題、新たな課題)
 医療的ケア児は年々増えていますので、引き続き、新たな当事者の発掘に取り組みます。会の存在を知っても、「知り合いがいない」「どのような雰囲気の会かわからない」など、実際に参加するには心理面でハードルを感じている人が少なくないことがわかりました。顔の見える関係づくりや、より参加しやすい開催日時、テーマの設定など、交流会の在り方について検討していきたいと思っています。また、年々増える医療的ケア児と家族に対し、より広く情報を届けるためには、支援者・専門職などを介し、間接的にも当会の情報を分かりやすく伝えていく必要があると感じています。活動を通じてできた支援者・専門職とのネットワークを活用しながら、効果的、効率的に情報を届けていくことも同時に進めていきたいと考えています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 小児医療が急速に進んだ昨今、日本は1万8000人を超える子供たちが医療的ケアを必要とする時代になりました。急激に進歩した新生児・小児医療によって助けられた命は、その後、多くの子どもが在宅ケアへと移っていきますが、その受け皿となるはずの行政サポートや地域医療や店舗・施設のバリアフリー化、家族へのサポートなど、医療的ケア児の在宅療養を支援する体制には遅れが生じています。そうした背景から、医療的ケア児を育てる家族は孤立感を感じたり、引きこもりがちにな
ったりして、地域から取り残されてしまうといった問題も出てきています。そこで私たちは、そんな医療的ケア児を育てる家族のための交流イベント開催や、在宅ケアに有用な情報の共有などができればいいな、と考えました。
 「かけはしねっと」は、医療的ケアを必要とする子どもの親が立ち上げた会です。自分たちが「こんなイベントあったらいいな」「こんな情報が知りたいな」と思ったことを実現・発信・共有することで、自分たちと同じような立場の方々に、「独りぼっちじゃないよ」と語りかけられる会でありたいと思っています。また、当事者家族だけでなく、医療的ケア児を取り巻く地域の方々にも私たちを知っていただくことで、医療的ケアのある生活をもっと開かれたものにしたいとも思っています。

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