助成番号  22-2-1

天井の先の宇宙-星空の下でつながろう


団体名  一般社団法人 星つむぎの村
https://hoshitsumugi.org/

所在地 山梨県
助成額 146万円

(団体について)
 一般社団法人星つむぎの村は、「すべての人に星空を」をミッションに、プラネタリウムや星空観望会、星に関するさまざまなイベントを行っている団体です。特に、本物の星空を見るのが難しい、長期療養中の子どもたちやそのご家族、医療関係者などに星空を届ける「病院がプラネタリウム」では、これまでに延べ8万人を超える人たちに楽しんでもらっています。
 直接出向く「出張プラネタリウム」のほか、コロナ禍も大活躍中の非接触で行える「フライングプラネタリウム」、オンラインで子どもたち同士が交流しあう「星の寺子屋」などを通して、同じ星空の下、障害や病気、環境などあらゆるバリアを超えて、共に生きる小さな社会をつくりたいと願いながら活動しています。
 また、その小さな社会をさらに体現化するために、誰もが安心して満天の星を見に来られる宿泊コテージ「星つむぐ家」を現在建設中です。

(助成による活動と成果)
(1)星つむぎの村のプラネタリウムを伝えるプロモーション動画
 2019年にオンエアされた番組「宙先案内人−星と人をつなぐ出張プラネタリウム」を制作した山梨放送(YBS)と協働しながら、あらたな撮影も行い、プロモーション動画を制作しました。何よりも、出張プラネタリウムやフライングプラネタリウムを体験しているときの子ども達の表情は、「百聞は一見にしかず」で、プラネタリウムがどれだけ幸せな空間であるかを感じていただいています。
 2022年7月7日にリリース。 https://youtu.be/j8sYKf4KHms

(2)在宅療養中の子どもたちと家族への「フライングプラネタリウム」
 5件の在宅向けフライングプラネタリウムを6〜8月の間に行いました。中には、このフライングプラネタリウムがきっかけで、もっと一緒に何かやりたい、と村人(星つむぎの村のボランティア)になっていただいた家族もいたり、関係する団体に紹介してくれるなど、その後もつながりが広がるような機会となりました。
 また、これらの活動の流れを受けて、最近はターミナルのお子さんのご家族やその関係者が、フライングプラネタリウムを依頼してくる件数が増えています。

(3)星の寺子屋と合宿
 星の寺子屋は、毎月2回実施しました。今年度は特に、山梨県北杜市で合宿をすることを意識しながら、星つむぎの村の拠点からオンラインを実施し、自然や農体験を多く取り入れました。7〜8月の3回には、武田薬品工業株式会社さまからのボランティア参加が多くあり、病気や障害を持つ子どもたちと一緒に時間を過ごすことができました。
 また、2023年5月13〜14日、「星の寺子屋プレアデス合宿」を行いました。6名の重心児や医療的ケア児と12名のきょうだいやそのほかの子どもたち、18名の保護者、14名の講師やサポーター総勢50名が2日間、温かくて優しい、笑いの絶えない豊かな時間を過ごすことができました。また、8名の子どもたちが、オンラインで参加することによって、その空気感を多少なりとも共有することができました。

(残された課題、新たな課題)
 「フライングプラネタリウム」をはじめたきっかけは、余命宣告された少年へのプラネタリウムが、間に合わなかったという悔しさからであったので、現在、ターミナルなお子さんのご家族や関係者から声がかかる回数が増えてきたことは、大変ありがたいことだと感じています。一方、フライングプラネタリウム実施のための経費は、個人負担にしては大きすぎると感じており、特に急な対応のためには、常に寄付を集めたり、助成金を獲得したりする必要があると感じています。私たちの活動をさらに知っていただく効果的な広報も、あわせて考えていく必要があります。
 星の寺子屋合宿は、今回はちょうど6組のバギーや車いすユーザーの子どもたちが参加しました。会場となったあおぞら共和国は5棟のコテージをフルに使いましたが、バギーや車いすユーザーは6組で最大になります。来年以降、さらに希望者が増えたときに、どのように対応していくか、時間差を設けるなどするか・・などは今後の課題です。また、対面とオンラインのハイブリッドを、より効果的にスムーズにできるような対策をしたいと思います。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 私たちは、なかなか本物の星空を見られない人たちに星空を届ける、という活動を通して、障害や病気を持つ子どもや大人たちに多く出会い、仲間になってきました。仲間になるまで、彼らの日常を想像はしても、理解に至ることがあまりありませんでした。そして、社会の中にはまだまだ無意識のうちの差別意識というものが多くあることを感じています。ボランティアである村人の多くも、経験が少ない間は、「障害を持つ人たちにどう接してよいかわからない」という戸惑いを持っている人たちも少なくありません。
 だからこそ、「一緒に過ごす」ことが、人間のふれあいをベースにした温かいつながりづくりに欠かせないことを身をもって感じています。星空が教えてくれる人々の平等性を、頭だけではなく体で実感できることこそが、一人ひとりの幸せを、そして社会の幸せをつくっていくことになる、と信じ、「共に生きる社会」を目指していきたいと思っています。

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助成番号  22-2-2

小児病棟でのクリニクラウンオンラインイベントの実施


団体名  認定特定非営利活動法人 日本クリニクラウン協会
https://www.cliniclowns.jp/

所在地 大阪府
助成額 180万円

(団体について)
 当協会は、「すべてのこどもにこども時間を」を合言葉に、クリニクラウン(臨床道化師)を小児病棟に派遣し、入院しているこどもたちが、こども本来の生きる力を取り戻し、笑顔になれる環境をつくるために2005年から活動しています。

(助成による活動と成果)
 コロナ禍、小児病棟ではCOVID-19の感染予防の為、家族との面会制限、プレイルームの使用制限・イベントの中止など、こども同士の交流や遊びの機会が制限されています。そこで、昨年度は、病棟保育士などの病院スタッフと協力し、小児病棟でのオンラインイベントのプログラム開発を実施しました。
 今年度は、プログラム開発した「夏祭り」「クリスマス」「宝探し」などのオンラインイベントプログラムを計17回実施し、のべ203人のこどもたちにこども時間を届けることができました。新規実施病院のスタッフから、こどもたちが参加しやすい工夫がされていて、スタッフの負担も少なく達成感が得られる点が高く評価されました。これまでクリニクラウンWeb訪問や実際の訪問がなかった病院で実施することができ、定期的なWeb訪問にもつながっています。また、当初予定していなかった、コロナ病棟や院内学級での実施や自宅療養中のこどもたちとも関わることができ、実際の訪問でこのプログラムを実施するなど、様々な可能性に挑戦することができました。
 また、工作ボランティアやこども時間案内人(広報ボランティア)を実施することで、ボランティアの参加の機会・活躍の機会をつくることができ、長期療養中のこどもたちの理解を深めることができました。

(残された課題、新たな課題)
 課題は、必要なところに必要な情報が届いていないため、広報の工夫が必要だという点です。学会の団体紹介ブースでは、オンラインプログラムやこども時間案内人に関心があり、小児病棟の療養環境やこどもたちのために何かしたいというスタッフが多くいると感じました。しかし、病気のこどもたちを支えるためのプログラムを持つ支援団体のことを知らない人も多くおり、病棟スタッフや家族が活用しやすく、情報をまとめて伝える工夫が必要だと思います。
 今回、デモンストレーション&体験会では導入にむけての情報を届けることを目的に実施したため、病院のスタッフにより分かりやすく伝わり、実際のオンラインプログラムの実施につながりました。団体を紹介するだけでなく病棟スタッフや家族がどう活用できるのかという視点で情報発信していくことの大切さを感じています。外部資源を実際に活用している病院スタッフが活用事例を発表したり、病棟スタッフや当事者のための活用方法などを伝えたりする機会や情報交換できる機会をつくることが今後必要であり、いろいろな団体と協力し一緒に情報発信していく機会を作ることが大切だと思いました。
 クリニクラウンweb訪問の2022年度実績は、20病院で年間186回訪問を実施しています(オンラインプログラムを含む)。2020年度実績の10病院からは増加していますが、まだまだ実施する病院は少ない状況です。このプログラムをきっかけに、長期療養中のこどもたちを応援する外部団体の支援を受け入れてもらう機会をつくってもらうことが課題です。
 今後は、開発したプログラムをより多くの病院で実践していけるような仕組みをつくり、多くの方が長期療養中のこどもたちを応援していることを、伝えていくことが大切だと考えています。また、オンラインプログラムを実施した病院スタッフのアンケートから中高生のこどもたち同士の交流の機会が減少しており、入院中の中高生が主体的に交流できるようなプログラムの開発実施も必要性を感じています。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 COVID-19の感染症法の分類が変更になり、世の中では、コロナ対策は緩和の傾向があります。しかし、ほとんどの小児病棟では面会制限は少し緩和されましたが、外部のボランティアの受け入れについては慎重な対応をしており、こどもたちが「こども時間」を取り戻すにはまだまだ困難な状況が続いています。今、現在も変わらず行動制限を受けている長期療養中のこどもたちに、オンラインイベントを通じて、遊びの機会を提供し、こどもたちの心が動く瞬間や感情表出や表現の機会をつくり、成長や発達を支えていきたいと考えています。オンラインをつかったWeb訪問は、遠方の病院へ気軽に訪問することができたり、移植前のこどもたちにも感染のリスクなく遊ぶことができます。また、「今、この子に会わせたい」という緊急対応にもWebだからこそ応えることができます。
 実際のクリニクラウン訪問やオンラインをつかったクリニクラウンWeb訪問やオンラインプログラムなど選択肢を増やしていくことが大切だと考えています。できないとあきらめるのではなく、できることは何かを考え、工夫をしていくことの大切さをコロナのおかげで再確認することができました。そして、リアルでもオンラインでも、クリニクラウンならではのユーモアのあるコミュニケーションを展開することで、こどもは楽しさや喜びを感じることができ、同時にこどもに関わる人たちも、それぞれの立場を越えて本来のその人らしさが引き出され、豊かなコミュニケーションが生まれ、関係性を育んでいきます。これからも人と関わることの楽しさや喜びをこどもや家族や病院スタッフと一緒に感じてもらい、みなさんと協力し、こどもたちの心を育んでいきたいと思います。このプログラムをご支援いただき本当にありがとうございました。

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助成番号  22-1-1

小児病棟の付き添い家族に温かい食事を届け、心も支える「お弁当deスマイリング」事業普及プロジェクト


団体名  特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング
https://momsmile.jp//

所在地 東京都
助成額 145万円

(団体について)
 当団体は、病気の子どもとその家族を支援する目的のもと、2014年に設立されたNPO法人です。理事長・光原ゆきの当事者体験をもとに活動を開始し、主に入院中の子どもに付き添う家族の生活支援(食支援、生活用品の提供)を行ってきました。2023年7月末現在の実績(累積件数)は、食支援(ミールdeスマイリング事業)では7700食、生活用品の提供(付き添い生活応援パック無償配付事業)では5200名となっています。
 私たちは、入院中の子どもに付き添う家族の心身の健康を守ることは、病気の子どもが安心して治療を受けられるために必要なことであり、子の早い回復に貢献すると考えています。また、付き添い家族への生活支援を通し、病気や障害の子どもを抱えながらも、その家族らしく子育てを楽しみ、そうした親子を地域で支えられる社会の実現も目指しています。

(助成による活動と成果)
 地域の支援者・支援団体と連携し、入院中の子どもに付き添っている家族に食支援を行うパイロット事業は、当初の目標どおり6拠点(神奈川県立こども医療センター、香川大学医学部附属病院・四国おとなとこどもの医療センター、ドナルド・マクドナルド・ふくおかハウス、成田赤十字病院、筑波大学附属病院・茨城県立こども病院、日本赤十字愛知医療センター名古屋第一病院)で実施することができました。また、6拠点のうち3拠点(香川大学医学部附属病院、ドナルド・マクドナルド・ふくおかハウス、成田赤十字病院)では継続支援を実現できており、そのうち2拠点(香川大学医学部附属病院、ドナルド・マクドナルド・ふくおかハウス)は地域の団体によって食支援活動が引き継がれたことは高い成果であったと認識しています。
 さらに、当団体ではツイッターやインスタグラムなどのSNSを通してパイロット事業の実施報告を積極的に発信しました。それらの情報を見た複数の付き添い経験者から「自分の子どもが入院していた病院で食支援をやってみたい」という連絡が入り、当団体のアドバイスのもと、すぐに動き出した人もいます。例えば、群馬県小児医療センターにお子さんが入院していた付き添い経験者(ご両親)は2022年10月から週1回、群馬県小児医療センターでキッチンカーによる食支援を開始。医療者も巻き込んだ「おうえんチケット」を発行し、付き添い者とその家族への割引販売も実現しています。
 本プロジェクトの実践が広がるにつれ、各地で活動している食支援団体のノウハウや工夫が知りたいという声も高まり、2023年6月4日にはパイロット事業に取り組んだ団体を中心に「食支援好事例共有シンポジウム」を開催し、パイロット事業の発信が食支援者の掘り起こしやネットワークづくりにもつながっています。

(残された課題、新たな課題)
 普段コンビニ食やレトルト食品しか食べられない付き添い者には栄養バランスを考えた健康的な食事を提供したいと思っていますが、パイロット事業を実施した6拠点/提供施設10施設(医療機関7施設、ファミリーハウス3施設)のうち、レトルト食品ではない通常の食事を提供できた医療機関はわずか3施設でした。このうち2施設はイベント的な単発の実施に終わり、パイロット事業を行った後も継続的に食事を提供できている医療機関は1施設のみに止まっています。そのほかの4施設はリスクマネジメントの観点から衛生面と安全面の保障を理由にレトルト食品しか受け入れてもらえませんでした。すでに医療機関とリレーションシップを持ち、ある程度の信頼関係が出来上がっている地域のNPO団体からの申し入れでも通常の食事を提供することは難しく、予想以上に医療機関の受け入れのハードルが高いことがわかりました。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 子どもが入院すると、子どもだけでなく家族にもさまざまな影響を及ぼします(病院に寝泊まりをして子どもの療養生活を支える、遠方からの面会を強いられる、きょうだい児の世話や仕事との調整を求められるなど)。現行制度において小児病棟での付き添いは任意とされていますが、子どもが幼ければ幼いほど病室に泊まり込んで看護せざるを得ない親たち(特に母親)が多数存在します。こうした付き添い家族に対するサポートや生活環境の整備は病院ごとに異なり、多くの病院ではそこまで手が回っていないのが現状です。私たちの調査では付き添い中に「食事バランスの乱れがあった」と答えた人は8割以上、「睡眠不足があった」と回答した人は9割以上いることもわかりました。また、「体調不良」では対象者全体の半数以上が「あった」と回答し、入院期間が長いほうがその頻度が高い結果となっています。
 こうした現状の中、早急に解決すべき課題が「食事」と「睡眠」です。この2つは人が健康を保つうえでの基盤であるにもかかわらず、ほとんどの人が劣悪な環境に置かれているからです。なかでも食事は「病人ではない」という理由から付き添い者には提供されないことが多いため、院内にある売店やコンビニで購入せざるを得ませんが、割高なので経済的に苦しくなり、自分の食費を切り詰める母親も少なくありません。子どもの病院食の食べ残しを食べたり、食事の回数を減らしたり、1日1袋の菓子パンでしのいだりするようなことも珍しくないのです。
 食事を切り詰める生活を続けていくと、母親は自分をいたわる気持ちがどんどん薄れていきます。そして、孤独感もどんどん増していきます。コロナ禍以降、経済的に困窮する家庭が増加しており、さらに小児病棟の感染防止対策の強化により人とのつながりを絶たれたことで、母親の精神状態は一層悪化していることが、私たちが実施したアンケート調査からもわかっています。
 「病院のこども憲章」が普及している欧米では、「親に付き添ってもらうことは子どもの権利である」と位置づけ、親が安心して付き添えるように健康面・経済面・社会面からのさまざまなサポートを充実させています。こうした大事な視点が日本社会に欠けていることが問題であり、医療界のみならず、社会全体でこの視点を共有・認識し、親子が安心して過ごせる入院環境や社会的制度を早急に整備していくことが求められています。

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助成番号  22-1-2

入院・療養中のこども達にICTを使って音楽を届ける活動


団体名  特定非営利活動法人 OnPal
http://onpal.org

所在地 福岡県
助成額 120万円

(団体について)
 特定非営利活動法人OnPalは、身近に音楽を楽しむ機会を提供し、音楽が持つエネルギーによって元気を届けて、音楽あふれる心豊かなまちとなることを目的として2013年に設立しました。
 主に入院中の子ども達にプロの音楽家が「音楽授業」や「コンサート」を無償で届ける活動を行っています。音楽家が子ども達に色々な楽器や音楽のことを教えるとともに、生の演奏と音楽家との会話を通じて、心を豊かにし、治療に立ち向かう意欲を高めることを目指しています。
 またコロナ禍で病院訪問が難しくなった2020年からYouTubeの「おんぱるチャンネル」を開始し、これまでに24作品をアップロードしました。2022年からは、オンライン配信もスタートしています。

(助成による活動と成果)
1.「インターネットを活用した音楽プラグラムの配信活動に関するアンケート調査」の実施
■ 調査目的:
 コロナ感染症の流行後における、病院内の子ども達が音楽を学び、楽しむ環境についての実態を調査し、OnPalの活動の質の向上と、より多くの病院への活動展開を目的とする。

■ 調査対象:256病院(目標:200病院)

■ 回答者数:47病院(目標:40病院)

■ 成 果:
 コロナ禍で、コミュニケーションの機会などが失われている長期入院中の子ども達が、ICTの活用によって、音楽やアートの体験の機会に出会い、笑顔になり、心豊かに成長することを願って、今後の活動の充実を図るためにアンケート調査を実施しました。

 このアンケートで多くの院内学級の現状や「おんぱるチャンネル」への現場からのご意見をいただくことができました。また、何より全国の院内学級にOnPalや「おんぱるチャンネル」のことを知っていただくことができ、20を超える院内学級に連絡ができるようになりました。

2.「おんぱるチャンネル」の新たな方向性の検討
 アンケート結果に基づき「おんぱるチャンネル」の新たな方向性についてまとめました。
@おんぱるチャンネルに求められる2つの役割
 Amusement(演奏家との出会い、音楽を楽しむ機会)及びStudy(音楽教科書に沿って理解を深める)をベースに新たな作品づくりに取り組む。
A作品の時間と配信頻度
 作品は20分以内で2カ月に1回程度を目指す。
B演出上の留意点
 子ども同士の会話を引き出す演出や、HPを活用した書き込みコーナーの設置など双方向性を高めるための仕組みを検討する。

以上のような方針に基づき、3つの新しい作品を制作しました。
「サマーコンサート2023」「花火大会2023」 「鍵盤ハーモニカの音楽授業」
 特に、「鍵盤ハーモニカの音楽授業」は、アンケートで「小学校で子ども達が練習するのはリコーダーと鍵盤ハーモニカなので、この実技などの動画を是非配信してほしい」との意見を数件頂いたことから製作したものです。

3.オンライン配信
 助成によって、オンライン配信ができるOnPalのスタジオを構築したことで、アート授業の配信もできるようになり、以下のオンライン配信活動を行いました。
・2022年10月16日 「みつまたアート」のオンライン授業
  九州大学病院 こども病院
・2023年5月24日  チェロ・コントラバスのオンライン音楽授業
  九州大学病院 こども病院
・2023年6月30日  チェロ・コントラバスのオンライン音楽授業
  愛知県 大府特別支援学校(あいち小児保健医療総合センター内)
  福井県 福井東特別支援学校五領分教室(福井大学医学部付属病院内)
  ※アンケートによってつながりができた、遠方の2つの院内学級にも音楽授業を届けました。

(残された課題、新たな課題)
 「おんぱるチャンネル」については、子ども達との対話を重視した内容づくり、ホームページとの連携による双方向性の実現などに取り組み、現在の登録者数80人の倍増を目指したいと考えています。
オンライン配信については、全国どこへでも配信できることや、教室だけでなく、病室や自宅療養中でも参加できる強みを生かして、コロナ後もできるだけ多くの院内学級や病気の子ども達に、展開していきたいと考えています。
 将来的には、配信日を設定して、アドレスやパスコードを公開することで、病気の子ども達がどこからでも自由に楽しむことができるシステムなどができれば良いなと考えてします。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 一般的な社会では、コロナ感染症が5類になったことで、コロナ前の日常が取り戻されつつありますが、重い病気の子ども達が入院している病院では、ボランティア活動の受入れは多くの病院でまだまだ先のことになりそうです。
 心と体の成長に最も大切な時期を、入退院を繰り返しながら病院で過ごす子ども達は、学校の友達とのコミュニケーションの機会も限られ、楽しい運動会や遠足などの行事にも参加できません。
 OnPalでは、音楽やアートを通じて、子ども達が非日常的なスペシャルな時間を楽しむことで、豊かな感性を育み、また辛い治療に立ち向かう意欲を高めてほしいと考えています。
 このことは、本来は病院がもっと真剣に取り組むべき課題だと考えていますが、日本の病院では治療は素晴らしい進歩を見せているのに反して、心のケアについてはとても遅れていると感じています。
 そこでOnPalでは、今後も助成、寄付、協賛など多くの善意をプロの音楽家やアーティストによるボランティア活動に変えて、子ども達に届けていきたいと考えています。

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助成番号  22-1-3

医療的ケア児家族をつなぐボランティアプログラムの企画開発と仕組みづくり


団体名  特定非営利活動法人 アンリーシュ
https://unleash.or.jp/

所在地 東京都
助成額 155万円

(団体について)
 当団体は医療的ケア児者・ご家族に必要な情報を、SNSを通じて発信する特定非営利活動法人です。医療的ケア児家族はその認知度の低さから、深刻な情報不足と孤独感を抱えています。特に在宅で医療的ケアを家族が行うことについて、その工夫や家族の気持ちは、医療・福祉従事者からは見えづらく、これまで表に出てこないところでした。NPO法人アンリーシュはここに着目し、「医療従事者ではない、一般のママ・パパが自宅でどう医療的ケア児を育てているのか」という生の声や情報を多くの家族とともに発信しています。
 子供が病気を宣告されたら/人工呼吸器をつけた子供との旅行/就学に関する事例紹介など多様な分野で育児に必要な情報発信を行なっています。

(助成による活動と成果)
 今回の助成事業では、「医療的ケア児家族をつなぐボランティアプログラムの企画開発と仕組みづくり」に取り組みました。プログラムは主に団体の理念や活動内容を理解する基礎講座と、SNS運用スキルを学ぶ実践講座を開発しました。また受講生は当事者の親を対象としました。さらに講座を通してスキルを身につけるだけでなく、自分の育児を振り返り、社会に還元する機会を創出していくことを目指しています。
 同時に講座受講を通して医療的ケア児家族同士のコミュニティを形成していきました。2023年7月には、プログラム受講者と当事者家族等を招待したリアルイベントを開催しましたが、80名近くの参加があり、互いに交流する良い機会となりました。

(残された課題、新たな課題)
 医療的ケア家族同士のコミュニティの運営スキルが必要だと感じています。参加者同士が有意義な情報交換ができる場になるよう、サポートや悩み事に適した相談者(支援者)を紹介するなどの仕組み作りが次の課題です。
 2023年は、専門家(相談支援員・学校看護師)をアドバイザーに加えながら試行錯誤を繰り返していきたいと思っております。孤独感・情報不足を抱える家族の拠り所になるよう、情報発信・コミュニティ運営を強化していき、社会に貢献してまいります。

(活動の背景・社会的課題)(団体からのメッセージ)
 医療的ケア児家族は全体的に数が少なく、専門の医療機関が近くになかったり、学校や地域の支援が充分に行き届いていない現状があります。日々の生活の中で、不安を抱えやすいことに加え、外出や家族との思い出を作る機会が持ちにくいことが課題になっています。
 今回の助成事業を通して、リアルの家族交流会を開催したところ、参加者からは「普段、気安く出かけることが難しく色々な制限があって、経験させてあげられないことがたくさんあります。諦めている事も多い中このような機会をいただけて嬉しかったです。子どもも初めての体験に目を輝かせていました!」などのメッセージをいただきました。このような機会をこれからも創出していきたいと思います。

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