設立趣旨書

● 設立の趣旨

 このファンドは、特定非営利活動法人日本NPOセンターの実績の一部を継承・発展させるもので、新しい市民社会の実現に寄与することを理念とし、個人・企業・団体等からの多様な寄付や助成の受け皿となる専門性を備えた資金仲介組織として、市民社会の創造をめざす民間非営利組織(NPO)の資金源を豊かにし、民間非営利セクターの自立した発展と活発化を図ることを目的に、下記の設立趣旨に基づいて法人化するものです。

● 求められる資金循環の仕組み

 NPO法が施行されて3年半が経過し、その税制優遇の仕組みも形だけは整いました。社会的・経済的な閉塞状況の中で、NPOへの期待はますます大きくなりつつあります。しかしその活動を発展させるための資金源は、きわめて限られています。多くのNPOは、収益性のある自主事業に専念するか、行政からの補助金や委託事業に頼らざるを得ません。それらの資金源が重要なことは言うまでもありませんが、それらへの過度の依存は、NPO独自の社会的使命の追求をないがしろにしかねません。
 NPOが自立して先駆的な活動を大胆に展開していくためには、自らの企画を実現するための自由度の高い多様な資金源を欠くことができません。特に地域で活躍する個々のNPOを支える中間支援組織にとって、そのような資金源は強く求められています。
 一方、市民社会の創造・発展に向けての個人や企業の志は、日ごとに高まっているようにも見えます。その志を有効な資金源として望ましいかたちで実らせることが、今、求められています。不足しているのは資金そのものよりも、その循環の仕組みであるとも言えます。

● 設立するファンドの概要

 そのような資金循環の仕組みを、ここでは「市民社会創造ファンド」として構想し、その実現に取り組むことにしました。このファンドは、市民活動への助成に関する専門的なコンサルテーション機能を備えた資金仲介組織(インターミディアリー)で、
(1)自主的な資金調達にもとづく、各地のNPO支援組織の基盤強化のための助成
(2)特定の目的をもって寄付された財源による、個別NPOの活動に対する助成
(3)一定のテーマや方針のもとに助成しようとする企業等に対する、助成プログラムの開発や助成実施への協力の3つのプログラムを通じて、市民社会の基盤強化を実現しようとするものです。
 なお、このファンドはフローの資金を有効に活用することを前提としていることから、当初に多額の財源は必要としません。それだけに、常に魅力的な助成を行い、寄付の促進を図ることが重要となり、資金助成分野のスタッフの力量形成の場としても期待されます。

(2002年5月24日)

設立代表者および発起人

● 設立代表者
  山岡 義典(日本NPOセンター 常務理事/法政大学 教授)

● 設立発起人
  雨宮 孝子(松蔭女子大学 教授)
  片山 正夫(セゾン文化財団 理事・事務局長)
  勝又 英子(日本国際交流センター 理事・事務局長)
  久住 剛 (パブリックリソースセンター 代表理事)
  田代 正美(経済広報センター 常務理事・事務局長)
  中村 陽一(立教大学大学院 教授)
  早瀬 昇 (大阪ボランティア協会 理事・事務局長)
  松原 明 (シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 事務局長)
  渡辺 元 (トヨタ財団 プログラム・オフィサー)

● 設立発起団体

特定非営利活動法人日本NPOセンター
特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター
特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター
特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター